「会計」と「人間の心」の両面からよりよい企業経営を提言
多くの企業が「行動指針」を定めている
私は、業績管理会計における組織アイデンティティの役割に関する研究をしています。アイデンティティとは、自分がどのようなカテゴリー(高校、先生、親など)に属しているかという意識です。
各カテゴリーには「こう振る舞うべき」という行動規範が存在すると考えられ、企業も従業員が取るべきふさわしい行動の目標や指針を明示的に定めています。例えば、ジョンソンエンドジョンソン社の「我が信条(Our Credo)」やリッツカールトンホテル社のクレドが挙げられます。日本企業もTOYOTA社をはじめ多くの企業が「行動指針」を定めています。
行動目標や行動指針は意味があるのか
業績管理会計は、部門利益などの業績情報に基づいて従業員の処遇や報酬を決定すれば、従業員が高い報酬を目指して行動を変えることを期待し、様々な理論を構築してきました。その背後には経営者は従業員の行動を完全に知ることはできないという前提があります。
しかしその前提に立てば、経営者は従業員が行動規範から逸脱したかもわからないので、行動目標や行動指針の設定は従業員の行動に影響を与えることができず、組織目的達成のために意味のない実務慣行という結論になります。
会計にアイデンティティの視点を加えて
一方、行動規範から逸脱する行動をとろうとすると、心理的な抵抗や「心の痛み」が生じる場合もあります。例えば、部活動や高校生の一員として不適切な行動をとる場面を想像してみてください。これはそのカテゴリーに属しているという意識(アイデンティティ)があるからこそ生まれる感情です。
そこで私は、業績管理会計の理論にアイデンティティの視点を加えて、「会計」と「人間の心」の両面からよりよい組織経営を行う仕組みを研究しています。私の研究の成果の一部は、例えば特定の業種での、テレワークなどの働き方、新卒や中途入社などの採用のあり方、あるいはM&Aなどの全社戦略の特徴などに応じてどのような業績管理システムが最適になるのかといった課題に、具体的な指針を示しています。
また、子会社や各部門にどの程度の決定権限を持たせるべきか、性質の異なる業績尺度をどのように組み合わせるべきか(例えば株価か会計利益かなど)、あるいは報酬体系は固定給であるべきか業績連動給であるべきかなどの管理会計実務における興味深い課題への応用にチャレンジしています。
「業績管理会計における組織アイデンティティの役割に関する理論的・実証的研究」
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大切に飾っています。
◆主な業種
(1) 金融・保険・証券・ファイナンシャル
(2) コンサルタント・学術系研究所
◆主な職種
(1) 経理・会計・財務、金融・ファイナンス、その他会計・税務・金融系専門職
(2) コンサルタント(ビジネス系等)
(3) 営業、営業企画、事業統括

