AIとともに医療を変える! バーチャル臨床試験の実現へ

“仮想の患者さん”で治療の効果を予測
みなさんは「未来の医療」がどう進んでいくと思いますか。私は今、「仮想データに基づくバーチャル臨床試験」という、ちょっと未来っぽい研究をしています。
病気を治すためには「この治療が本当に効くのか?」を調べる臨床試験が必要です。でもこの試験、時間もお金もかかり、参加する患者さんにも負担があります。もし、それをコンピュータの中でシミュレーションできたらどうでしょう? 本物の人ではなく“仮想の患者さん”で治療の効果を予測できれば、もっと早く安全に、新しい治療が見つけられるかもしれません。
未来の医療の形
私たちは人工知能(AI)を使って、ほんの少しのデータからでも、まだ見たことのないタイプの患者さんの治療結果を予測できるシステムを開発しています。
たとえば、過去に治療された高齢の患者さんのデータがなくても、AIに“仮想の高齢者”を作って予測してもらうのです。こうした「仮想臨床試験」は、これまで想像できなかった未来の医療の形かもしれません。
私自身、高校生のころ「人を助けるために科学を使えたら」と思って医療の道に入りました。今は、現実の患者さんだけでなく、まだ見ぬ未来の患者さんのために、AIとともに医療を変えていこうとしています。
あなたが今感じている「なぜ?」「どうして?」の好奇心が、未来の命を救う技術につながるかもしれません。一緒に科学の力で命を救いませんか。
小学生のころ、身近な人ががんで治療を受けたことをきっかけに、「科学で人を助けるにはどうすればいいか」を真剣に考えるようになりました。数学や物理が好きだったため、診療放射線技師になるための大学に進み、大学院で放射線治療に関する研究に取り組みました。
そこで医療の現場にAIを活かす可能性に気づき、患者一人ひとりに合わせた治療を目指す個別化医療の研究にのめり込んでいきました。この経験が、今の研究テーマへとつながっています。
「仮想データに基づくバーチャル臨床試験システムの開発」

◆主な業種
(1) 病院・医療
(2) 医療機器
◆主な職種
(1) その他医療系専門職(臨床検査技師・理学療法士等)
(2) システムエンジニア
◆学んだことはどう生きる?
病院で診療放射線技師として働き、がん治療の計画や画像検査に携わっている人や、医学物理士として放射線治療の品質管理や線量計算を担っている人もいます。また、医療機器メーカーでAIを用いた放射線診断・治療装置の開発に携わっている人もいます。
大学時代に学んだ医用画像処理や放射線の知識、さらには研究で培ったデータ解析やプログラミング技術を活かし、臨床現場の課題解決に取り組んでいます。医療と工学をつなぐ橋渡し役として、患者さんの命を支える仕事に貢献しています。
駒澤大学医療健康科学部診療放射線技術科学科では、コース制を採用しており、学部生のうちから自分の興味に応じた最先端分野を学習できる環境が整っています。臨床現場で使われる放射線技術だけでなく、最新の人工知能(AI)やビッグデータを活用した医療画像解析やバーチャル臨床試験など、未来の医療を創る研究に参加できるのが本学科の強みです。
「AIでがんを見つける!画像を使ったがんの分類モデルづくり」
がんのCT画像を模した白黒画像(オープンデータや図形で代用可)を使い、「がんあり/なし」を判別する人工知能(AI)モデルを作ることができます。
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Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医療×情報科学(AIやデータサイエンス) |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アメリカ。世界中から研究者が集まり、「これからの医療をどう変えていくか」を本気で議論し合えます。 |
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Q3.感動した/印象に残っている映画は? 『世界の中心で、愛をさけぶ』:患者さん一人ひとりに、映画にできるような人生のストーリーがあります。主人公が病気と戦っている映画は、「すべての患者さんを救いたい」という強い思いを確認できます。 |
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Q4.好きな言葉は? 平凡な教師は言って聞かせる。良い教師は説明する。優秀な教師はやってみせる。偉大な教師は心に火をつける。By William Arthur Ward |