怒りのブレイクスルー 常識に背を向けたとき「青い光」が見えてきた
中村修二(ホーム社)
青色発光ダイオードの開発でノーベル賞をとった先生の自叙伝です。実験する物質が多少違っていても、使っている真空装置の原理や自然界の法則は私たちと一緒です。
著者は何度も失敗(爆発)を繰り返しながら実験を続けて、ある朝結果を見たら、自動測定されていた針が振り切れて成功していたというくだりがあります。これには同じ実験屋として熱いものを感じました。
青色発光ダイオードのおかげで、世の中にはカラーディスプレイや液晶テレビが普通にあります。たった一人の創意工夫が人類のくらしや歴史を変えます。もちろん経済も大きく変わります。
そこには、学歴も出身もなく、夢と思索そして勇気があるだけ。世間的な改良ではなく、挑戦から始まっている。そこに研究者・技術者のロマンを感じます。
装置開発の喜び 電子のスピード計測に成功
何年もかけて開発した実験装置
私たちはペニングイオン化電子分光という実験に使う装置を開発しました。イオン化の際に出てくる電子のスピードを測るものです。この装置を開発することに成功したときのことをお話しします。
磁場を使うと、従来までの1000倍の電子を集められることが、理論的にはわかっていました。しかし、設計を始めてもすぐには成功しません。綿密な設計や準備を進めて、完成するまで何年もかかりました。
いざ実験をしてみると、理論通りに何桁もたくさんの電子が観測され、電子のカウント数を測るメーターが振り切れてしまいました。光反応画像観測装置の開発でも同じ経験をしました。自然で起こっていることを観測する工夫をして、自然が最初に答えてくれたときの喜びは何物にも代えがたいものです。
プログラム開発の面白さ
物理と化学にまたがる物理化学という研究分野では、量子力学を使ったシミュレーションをします。自分でプログラム開発に成功したときのお話もあります。
プログラミングでは、入力の誤りを直すデバッグという作業を行います。うまくいくと、実験結果にぴったり合うグラフ(スペクトルと言います)が画面にパッと現れたり、逆行列の検算などでゼロになるべき数字がピタッとすべてゼロになって並んで表示されたりします。
このうまくいったときの感覚が、プログラミングで理論解析をするときの面白さです。頭で考えても、紙と鉛筆でもわからないとき、コンピューターがすごい速さでピタッと教えてくれる瞬間が最高に気持ちいいです。
中学では工作をすることや絵を描くことが好きでしたが、高校になると数学少年(自称)として過ごしました。大学に入ってからは、はたと立ち止まって自分の進路を考え、工作や数学的なことを使える物理化学が自分に合っていると思い、物理化学の研究室を選びました。
その後、いつかは行ってみたかった外国暮らしなどを経験して、現在の大学の研究室に至りました。思い返すと、高校時代の友人との会話や、何気なく読んだ本が、自分の進路選択に大きな影響を与えていることに気づきます。
「分子線を用いた超低温ペニングイオン化電子分光と光反応画像観測法の開拓」
◆主な業種
(1) 非鉄
(2) コンピュータ、情報通信機器
(3) 重電系
◆主な職種
(1) 大学等研究機関所属の教員・研究者
(2) 基礎・応用研究、先行開発
(3) システムエンジニア
◆学んだことはどう生きる?
自分の好きなことや得意なことはなかなか変わりません。元気がいいことだったり、プログラミングだったりします。世の中では、そういった個性を正確に評価してくれます。専門学問を中心とした研究室活動で個性が磨かれて、世の中の実働部隊として働く立派な人に成長していくのだと思います。
例えば、電力会社の本社や研究所、石油関連会社で海外勤務、つくばで研究者として現在活躍してる卒業生は、研究室にいるときから行動力があって、正確な活動ができるという個性が光っていました。
学科ごとに分かれすぎず、物理・化学・生物・情報などの学科が集約されているので、分野をまたいだ研究がしやすいです。個人の創意で新しいことに取り組む環境も整っていると感じます。
量子力学の基本とプログラミングについて
(1) d2y/dx2=yを満たす関数y=f(x)の一般解を表してみよう。
(2) フラクタル図形の一種であるマンデルブロ集合を図示してみよう。
(3) 水素原子の1s, 2s, 2p波動関数のx,y平面上の振幅を、z軸方向の高さとして図示してみよう。
答え:無料のChatGPTで聞いてみよう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 数学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 英国:発明の国だから、情報が集結しているから、日本とよく似ているところがあるから |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? スキー部 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子どもと野球 |