スパコンの大規模データから、「気づき」が得られる画像を自動生成

日々生まれる多種多様なデータを利用
インターネットやコンピュータが高度に発展したことで、私たちは日々の生活の中で大量のデータを簡単に生成し、それらを利活用できるようになりました。
例えば、SNSなどで生成されるテキストメッセージ、携帯で撮った写真や動画、センサーで取得された位置情報や温度などが詳細にデータとして蓄積できるようになりました。また、学校や企業においても、パソコンを使ってさまざまなデータが作成されそれを大量に保存・管理できるようになりました。
このように日々大量に生成される多種多様なデータを利用して、そのデータ内に潜む複雑な関係性を解き明かし、それを人間がわかりやすい視覚情報に変えることで、「あ、なるほど問題はそこにあったのか」や「この現象はこれが関係していのか」などの「気づき」を与えるためのデータ可視化に関する研究をしています。
スーパーコンピュータを使ったデータ可視化
さまざまなデータを使って問題解決をはかるデータ可視化の研究を進めていますが、現在、スーパーコンピュータ(スパコン)を使ったデータ可視化に関する研究に取り組んでいます。
スパコンは、何台ものコンピュータを接続して、大規模な計算を高速に実行することができる巨大な計算環境です。このスパコンを使って、ゲリラ豪雨などの異常気象問題やナノ材料など新規素材開発、最近ではコロナウィルス感染リスク評価など、さまざまな科学的課題解決のために利用されています。
解決までの時間を大幅に短縮
スパコンを使ったシミュレーションによって複雑な自然現象を効率よく高精度に再現できるようになった一方で、その結果データが大規模化し、可視化による「気づき」が難しい状況が発生しています。
私はこのような問題に対して、機械学習技術を利用してカメラがシミュレーション空間を自律的に移動し「気づき」が得られる画像を自動的に撮ってくれるスマートin-situ可視化という技術を開発しています。
"in-situ"とは"その場"という意味のラテン語で、この場合のその場はスパコン環境のことを意味します。我々の技術を使うことで、スパコン上で高速にシミュレーションを実行するだけでなく、「あ、なるほど」と気づくまでの時間を大幅に短縮することが期待できます。本研究をさらに発展させ、複雑高度化する科学的課題解決の時間短縮に役立てたいと考えています。

子供の頃から絵を描くことが好きだったり、中学・高校では数学も好きになり、当時はパソコンブームであったりもしたので、絵→数学→パソコン→コンピュータグラフィックス(CG)という流れで大学時代にCG関係の研究に取り組みました。
そして、CGをきっかけに、スパコンなどを使って複雑な物理現象(たとえば流体現象など)を再現した計算データ向けのグラフィックスソフトウェアを開発する企業に就職したことが可視化との出会いでした。
その後大学にもどり、計算データだけでなく、さまざまな分野の多種多様なデータを対象にして、そこに隠された重要な情報をどうすればわかりやすくグラフィカルに表現し理解することができるのかを追求しています。
「効率的な知見獲得を目指した大規模数値計算向けスマートIn-situ可視化」


◆主な業種
(1) コンピュータ、情報通信機器
(2) ソフトウエア、情報システム開発
(3) 電気機械・機器(重電系は除く)
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) システムエンジニア
(3) 基礎・応用研究、先行開発
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Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 建築デザイン関係。絵を描くことが好きだったので、大学ではコンピュータグラフィックスや建築関係の学問を学びたいと思っていました。現在、コンピュータグラフィックスに関係する可視化の研究をしていますが、もう一度大学に入るなら建築や環境のデザインに関する学問を学びたいです。 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? バスケットボール。小・中学校では楽しくバスケをし、高校は地元の強豪校に進学し、そこで燃え尽き、大学ではサークルで自由気ままにバスケをしていました。 |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 家族旅行。我が家では1年に1回は家族旅行をすると決めているのですが、コロナ禍は旅行に行けなかったので、これから海外も含め家族と一緒に旅行することを楽しみにしています。 |
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Q4.好きな言葉は? あきらめたらそこで試合終了ですよ。ベタですがバスケ関係者であれば誰しも心に秘めた言葉だと思います。 |