魚の卵形成・受精・発生に重要な未知の現象を発見!
魚の体は長い進化の到達点
我々はなんとなく、「人間が最も高等な動物である」という感覚を持っていると思います。
そう考えたときに、魚介類なんて研究して楽しいの?と思う方も少なくないかもしれません。しかし、長い歴史の中で、彼らは彼らなりに進化を繰り返し、今の生活スタイルに適した体を獲得しているのです。
卵を産み個体になる過程での糖質に注目
私はこうした魚介類(魚類や無脊椎動物など)の体内で起こる様々な現象に興味を持って研究しています。
学生の頃は魚の鰓(えら)が持つ、体の内外へ塩分を出し入れする特殊な能力に着目して研究していました。その後、より水産養殖に直結しそうなテーマである、卵形成と胚発生に焦点を移し、現在に至ります。
多くの生き物はタンパク質と脂質に富んだ卵を産み、それが受精して発生し、一つの個体となります。この過程でおこる栄養代謝、特に卵にはあまりない(≒そんなに大事じゃない?)糖質の代謝とその意味については研究報告が少なく、未知の領域が大きいです。
それじゃあということで調べていくうちに、意外と糖質も大事なことが見えてきました。
体内でのブドウ糖合成を発見
まず、魚は受精して発生する過程で、体内でブドウ糖を合成することを見つけました。さらに、メスの成魚が卵を作る過程では、また別の物質(ここでは秘密)が積極的に作られているようです。
このように、まだ見つかっていない、実は重要な現象があるかもしれません。彼らの体内で起こる現象を深く理解し、人為的に操作できれば、水産養殖の新技術に繋がるはずです。
元々はただ生き物が好きで、新潟大学の生物学科に入りました。動物の研究がしたくて、たまたま佐渡の臨海実験所にいらっしゃった、魚の生理学を研究をしている先生に弟子入りしたのが始まりです。魚が好きなこともあり、気づいたらこの世界にどっぷりでした。
振り返ってみると、大学時代、最初は生態学やフィールドでの研究に興味があり、生化学は大嫌いだったはずでしたが、いつの間にか今では生化学の研究をしています。何事もやってみたら面白いものです。
「魚類の卵形成過程における代謝メカニズムの解明と卵質の人為的操作」
◆主な業種
(1) 食品・食料品・飲料品
(2) 小売(百貨店、スーパー、コンビニ、小売店等)
(3) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1) 営業、営業企画、事業統括
(2) 生産管理・施工管理
(3) 一般・営業事務
◆学んだことはどう生きる?
大学院時代の研究で使っていた分析技術を使い、今でも外部委託の分析会社で働いている卒業生がいます。また、今は博士課程進学者も多く、今後はより専門的な職へ就く卒業生が出そうです。
一方、学部卒業生の仕事は幅広く、卒業研究で得た知識を使う仕事は多くないようです。ただし、これはいつも言うことですが、研究の過程では、調べ物の仕方、研究方策の考案、結果・考察をまとめて発表または他人へ説明する方法、研究室内での人間関係の構築など、実は社会で働く際に役に立つ多くのことを学べると思います。
うちの学部で「しか」やっていないこと、というと実はあまり思いつきません。逆に、やっていないこととしては海産哺乳類の研究が挙げられます。うちの学部の強みはそこではなく、「様々な分野の教員が多数(30名程度)集まっている」ところにあると思います。
なんとなく海が好き、魚が好き、深海が好き、という方が入学しても、学部3年間を学んでいくうちに、自分が最も興味を持つ研究室、あるいは卒業研究のテーマが見つかってくると思います。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? プログラミングを勉強してみたいです。 |
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Q2.感動した/印象に残っている映画は? 『ニュー・シネマ・パラダイス』 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 剣道 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子どもの成長ですかね。ベタですが。 |