生物分子化学

天然有機化合物

天然物の全合成が拓く、未来の医薬品・農薬


吉田将人先生

筑波大学 理工学群 化学類(理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 化学学位プログラム)

天然物化学について知りたい人は

海洋天然物化学

木越英夫、日本化学会(共立出版)

地球の約7割が海洋であることは皆さんご存知かと思います。海洋にはさまざまな生物がいるわけですが、それらが生産する天然物には医薬品や農薬に応用展開できる化合物が多く存在します。

「海洋天然物化学」は日本化学会が化学の要点シリーズとして、有用な生物活性を示す海洋由来の天然物に関する研究をまとめた一冊です。現役の大学教員が各項目をわかりやすく解説しているので、日常生活における天然物の重要性を知ることができます。

こんな研究で世界を変えよう!

天然物の全合成が拓く、未来の医薬品・農薬

生物が生み出す天然有機化合物に注目

私たちの普段の生活で身近に感じられる「化学」に関連する物質の一例として、医薬品や農薬があります。医薬品は病気を治す上で必要な物質であり、農薬は私たちが安定的に食料を確保する上で重要です。

これまでに、私たちにとって有用な医薬品や農薬が多く開発されていますが、薬が効きにくいウィルス・細菌の出現や環境問題への対応から、新しい医薬品および農薬となりうる化合物の探索が必要とされています。

我々はその新しい化合物の候補として、自然に存在する生物が生み出す天然有機化合物(以下、天然物)に注目しています。

ペプチド系天然物は新しい薬の候補

私の専門は生物有機化学です。生物有機化学は、有機合成化学を用いて生物活性を示す天然物の機能解明を目指す研究分野です。

我々の研究対象の1つにペプチド系天然物があります。ペプチド系天然物は新しい医薬品および農薬の候補として、近年非常に注目されています。

天然物を化学合成によって作りだす

医農薬へ応用展開するには、「なぜ生物活性を示すのか?」を明らかにする必要があります。そのために天然物そのものを用いた研究が必須ですが、一般的に自然から天然物を十分量得ることができません。そのため、研究を進めるために必要な量を、有機化学の知識・技術を利用して化学合成する必要があります。

これを全合成と言いますが、全合成が可能になると天然物を十分量確保できるだけでなく、その合成法を利用した様々な人工誘導体を得ることができるため、作用機構の解明のみならず、新しい医農薬開発の加速化が期待できます。

ディスカッションをしながら、生物活性天然物の機能解明に関する研究を日々進めています。
ディスカッションをしながら、生物活性天然物の機能解明に関する研究を日々進めています。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「可逆的V-ATPase阻害機構の解明に向けた環状ペプチドプローブの創製と応用」

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先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
生物有機化学研究室のメンバーです。全合成を基盤として、天然物の機能解明を進めています。
生物有機化学研究室のメンバーです。全合成を基盤として、天然物の機能解明を進めています。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 薬剤・医薬品

(2) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品

(3) その他の化学系

◆主な職種

(1) 基礎・応用研究、先行開発

(2) 大学等研究機関所属の教員・研究者

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

化学類では、専門科目が充実しているだけでなく、特に3年生から実験科目が増えることが特徴です。卒業研究に携わる前から、研究室に近い環境で化学実験を行い、実験操作などを学ぶことができます。4年生になると志望する研究分野に配属されて、卒業研究を行います。

我々の生物有機化学研究分野では、有機合成化学の知識と技術を駆使した生物活性天然物の機能解明を進めています。有機化学以外にも、無機分析化学、物理化学分野の研究室が複数あり、世界最先端の研究を日々行っています。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

くすりをつくる研究者の仕事 薬のタネ探しから私たちに届くまで

京都大学大学院薬学研究科(化学同人)

創薬研究者がどうやって薬を作るのか、なかなかわからないと思います。研究者目線で説明されているので、研究を身近に感じられる一冊と思います。


創薬科学入門 薬はどのようにつくられる?

佐藤健太郎(オーム社)

サイエンスライターの佐藤健太郎さんが書かれている本です。ご自身も創薬研究に関われていたことから、創薬について高校生にも非常にわかりやすくまとめられています。


文系でも3時間でわかる超有機化学入門

諸藤達也(裳華房)

大学教員も経験された諸藤先生による著書。有機化学の基礎から、わかりやすい言葉でまとめられています。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

また、化学を専攻すると思います。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

ドイツです。2年留学していましたが、ドイツ人がフレンドリーなところ、また料理が美味しく、とても住みやすかったです。

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

今は無くなってしまいましたが、毎年夏休みにとしまえんのプールでアルバイトをしていました。学習塾とのかけもちをしていたので、日に日に日焼けしていく塾講師を、中学生は不思議に思っていたそうです。

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

サッカーです。自分自身がやっていたことに加えて、子どもたちもサッカーをやっているので、一緒にボールを蹴ることがとても楽しいです。また、体を動かすために、毎週友人たちとフットサルをしています。


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