一瞬でモノを変化させるフェムト秒のレーザー光!情報通信機器を作る技術へ
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DVDプレイヤーやバーコードリーダーで活用
私は強い光をモノにあてたときに、モノと光がどのようになるのかを調べる研究をしています。その取り組みでわかったことを、世の中にない応用へと積極的に利用することを行っています。
皆さんは強い光と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。太陽光や稲光を思い浮かべたかもしれませんが、私はレーザー光という光を使っています。
レーザー光は私たちの暮らしの中では、CD・DVD・BDプレイヤーや、バーコードリーダー、医療用メスなど様ざまな場面で使われています。
雷よりも強烈なレーザー光
私の研究室では、フェムト秒という10のマイナス15乗秒という非常に短い時間に光エネルギーを閉じ込めたレーザー光を使っています。
あまりに小さな単位なので実感が沸かないですよね。
光は真空中で1秒間に地球を7週半進みますが、100フェムト秒では食品用ラップフィルム約2枚分の厚さの距離しか進みません。その非常に短い時間・狭い領域に閉じ込められたレーザー光の電気的な強さは、雷よりもはるかに強く、モノの状態を一瞬で変化させることができます。
ちなみに、このレーザーの発生方法は、ジェラール・モーロー博士とドナ・ストリックランド博士によって開発され、2018年にノーベル物理学賞を受賞しています。
電子を操り小さいものを作る
私の研究室では、このような自然界ではなかなか存在しない光を使い、一瞬でモノを変化させると同時にその様子を捉え、うまく操ることを得意としています。
最近では、表面プラズモン・ポラリトンという自由電子で構成される表面素励起を操り、小さいものを作る技術や新しい光触媒技術への応用を積極的に行っています。小さいものを作る技術は、もののインターネット(IoT)や情報通信技術(ICT)、移動性(モビリティー)を支える、高性能なコンピューターやスマートフォンを作ることに欠かせません。
レーザー光を使った新しい技術を提案し、企業と大学、公共団体と連携して研究を進めています。
![(左)強いフェムト秒レーザー光を固体表面に当てたときの概略図。電子の周辺に発生した強い電場(近接場)によって固体表面を削ります。(右)削られた後の窒化ガリウム表面の顕微鏡画像。幅100nm、深さ700nmの溝が均一に削られています。](https://miraibook.jp/question/file_upload/20240308093022a1_k23237_3.jpg)
「非金属に生成したホットキャリアによる光触媒反応の実証」
![image](https://miraibook.jp/client/images/sekai/learn-icon.png)
![(左)強いフェムト秒レーザー光で微細加工する実験を宮地先生が行っている様子です。(右)実験をするときに着けるゴーグルです。レーザーによって光の波長が異なるので適切なものを選んで使います。](https://miraibook.jp/question/file_upload/20240302121629a3_k23237_4.jpg)
◆主な業種
(1) 光学機器
(2) 精密機械・機器(医療機器・光学機器を除く)
(3) 自動車・機器
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 生産技術(プラント系以外)
(3) 基礎・応用研究、先行開発
エネルギー、新素材、環境という3つの軸を中心に幅広く化学、物理、電気、機械系分野をカバーする他大学にはないオンリーワンの学科です。基礎となる化学、力学、熱力学、電磁気学、量子力学、数値解析を体系的に学び、「化学工学」と「物理工学」の2コースと3つの軸に対応した科目群が用意され、専門をより深めることができます。
![(左)強いフェムト秒レーザー光を照射した後の固体表面の時間変化を測定する実験を学生が行っている様子です。(右)強いレーザー光を作るためにチタンサファイアという石に緑色のレーザー光を当てている様子です。レーザー光は目に入ると危ないのでゴーグルを着けて実験を行います。](https://miraibook.jp/question/file_upload/20240308093022a4_k23237_2.jpg)