独自の装置で、高品質な薄膜を合成
材料を薄くすると異なる性質に
高校化学で学ぶ層状物質(2次元物質)の代表例はグラフェンです。これはグラファイト一層のみを取り出した材料と言えます。
材料を薄くすることで何の意味があるのかと思われるかもしれませんが、極限まで薄くすると厚い状態とはまるで異なる性質を示すことがあります。これを「量子効果」または「サイズ効果」などと呼びます(厳密な意味ではありませんが...)。
薄膜を組み合わせて新たな機能を
量子効果は何もグラフェンに限ったことではなく、私が研究の中心としている遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)でも現れます。
私はそのTMDCの高品質な薄膜を合成する技術の開発を目指しています。将来的には様々な層状物質を組み合わせることで、単一材料では実現できない機能を有する薄膜材料を創出するべく研究を進めています。
装置開発はコツコツした学びの集大成
装置開発では化学に限らず様々な知識が必要になります。真空技術・プログラム技術・配管技術・高圧ガスの知識など様々です。
このような技術や知識は一朝一夕に身に付くものではなく、コツコツとした学びが必要になりますが、実際に動作する装置が完成した時は大きな達成感と充実感が得られます。
もともと物理学に興味がありました。それが幸いし、大学生・大学院生時代は数学・物理・化学と偏りなく勉強してきました。化学科の学生として勉強・研究を進めて行く中で、材料化学に興味を持ちました。材料化学では数学・物理・化学の包括的な理解が重要で学生時代における自分の勉強スタイルとマッチしていました。
アボガドロ数の原子が集まって固体が形成されますが、それらは結合の仕方や組み合わせによって多彩な性質を示します。固体が持つ深遠さにはたくさんの魅力が詰まっています。
More is different by P. W. Anderson
「2次元物質単層シートの組成制御によるバンドギャップエンジニアリングの確立」
東邦大学は私立理系では珍しく理学部を有しています。理学では純粋な知的好奇心を原動力として、自然の神髄に近づこうとします。大学では基礎=優しい、応用=難しいではありません。自然界の法則や原理を解き明かすことが“基礎"であり、その考え方は幅広く応用が利きます。6つある学科の中から自身の興味に近いものが見つかるのではないでしょうか。女子比率が高く、誰にとっても勉強・研究しやすい環境が整っています。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 素粒子物理学 |
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Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは? 『ポケットモンスター』(小学生時代) |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 英語 |
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Q4.好きな言葉は? 百折不撓 |