自己免疫疾患の新たな治療薬の可能性。製薬会社でも検討はじまる
10〜40歳台の女性に多い自己免疫疾患「SLE」
私たちの体にない細菌やウイルス等の異物を排除するために重要な働きをしている免疫のシステムが、私たち自身の体の正常な細胞や組織を攻撃してしまうことで発症する病気の総称を、自己免疫疾患(膠原病)といいます。
多様な自己免疫疾患の中で、私たちは主に10から40歳台の女性を中心に発症し、腎臓などの臓器や全身に様々な症状を呈する全身性エリテマトーデス(以下SLEと省略します)という病気の診療を行っており、SLEの診断や治療に役立てるために研究を行っています。
関節リウマチ治療ではすでに実用化
研究の結果、病気の活動性に相関し、治療のターゲットとなる分子を同定し、そのターゲットに有効な治療薬が、SLE患者さんに有効である可能性を示しました。
今後この研究が進むと、SLE治療薬の新たな選択肢となるとともに、これまでに実用化された治療薬に抵抗性のある患者さんへの効果や、現在治療の主体となっているステロイド剤の安全な減量による副作用の軽減効果が期待されます。
この治療薬はすでに、関節リウマチという関節の炎症・破壊を主体とする膠原病の治療で実用化され、現在さらに、複数の製薬会社によってSLEの治療薬として応用することが検討されています。
まだわからないことも多い自己免疫疾患
自己免疫疾患(膠原病)については、膠原病内科学という分野で学ぶ/研究することができます。この領域は長い研究の積み重ねにより、様々な病気の診断や治療法の改善が進んでいます。
一方、まだわからないことも多く、治療が十分に行えていない病気も少なくありません。私たちの研究室では、SLEに限らず、関節リウマチや特発性炎症性筋疾患(筋炎)、リウマチ性多発筋痛症等、幅広い研究テーマを扱っていますので、興味のある方はご連絡いただければと思います。
正直なところ、医学生になって、様々な病気の授業を受けて、このような病気があることを初めて知りました。この病気を専門とする医師を志したのは、研修医になって実際の患者さんを診てからでした。医学生の時から免疫学に興味があったこともありますが、病気の状態が非常に重く、大変つらい状態から回復し、元気に社会復帰していくSLEの患者さんの姿を見てうれしかったのがきっかけです。
「リウマチ性多発筋痛症における免疫代謝や老化に関連したバイオマーカーと治療法の開発」
様々な領域の研究者や臨床医の先生方と接することができるだけでなく、研究における具体的なアドバイスや共同での研究が行いやすい環境になっています。研究環境の整備に加え、研究の指導体制もしっかりしていて、私自身が大学院生であった頃を思い出すと、今のこの環境で研究ができる大学院生がうらやましい限りです。
・免疫フェノタイプについて
様々な免疫担当細胞が私たちの体の中には存在しています。それら細胞が、どのような自己免疫疾患において特異的に変動しているか、また細胞の機能が異なってきているかをこれまでの研究から調べてまとめてみましょう。またそれらの細胞でどのような遺伝子が特異的に変動しているかを調べてみましょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? もう1回医学を学び直してみたいです。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 住めば都に感じてしまう性格で、長く海外で生活していたこともあり、いいなと思う国はいくつもありますが、結局日本が一番いいと思っています(質問の答えになっていませんね)。 |
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Q3.感動した/印象に残っている映画は? たくさんあって思い出せない程ですが、繰り返して観ている回数が最も多いのは『ルパン三世 カリオストロの城』です(子供とよく観ています)。 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 面倒なことも少なくないですが、臨床業務やそれに関わる方々と議論できることが楽しいです。 |