チタンの「錆び」で「白い金属」をつくる
芸大志望が、「金属は面白そう」と材料工学へ
今でこそ工学分野で材料を研究していますが、実は高校の途中までは芸大進学志望で、将来は絵を描く仕事に就こうと考えていました。ところが、芸大受験塾で他の受講者の非凡な表現力に圧倒され、芸大受験を断念。
美術の次に好きな科学を学ぼうと、得意だった英語と理系科目で唯一得意な化学を頼りに理系クラスを選択しました。大学の工学部に材料工学科なるものがあることを知り「全てのモノは素材(材料)で出来ている、特に金属は面白そう」と材料工学科に入りました。
歯医者さんに求められた「白い金属」
美術好きの視点は研究にも少しだけ活かされています。現在のメイントピックである酸化膜被覆チタン合金の研究は、歯医者さんに「白い金属」がほしいと言われたのが出発点です。
金属材料は自由電子が存在する金属結合で構成されるが故に、その表面はピカピカした金属光沢を呈します。白黒以外の色は「干渉色」による着色が可能なのですが、この方法は陶器の様な光沢の無い白や黒にするのは不可能です。
丈夫さや剥がれにくさも追求
一方、チタンの「錆び」であるチタン酸化物は、結合比率によって白色になったり濃灰色になったりします。そこでチタンの表面だけを白く剥がれにくく丈夫な酸化物にしようと種々の方法を試しています。同時に、丈夫さや剥がれにくさは何で決まるのか、酸化物の強さを評価したり、酸化物/チタン界面の電子顕微鏡観察や有限要素シミュレーションとで明らかにしようとしています。また、酸化物の色を数値化し、効率良く表面を白くする方法を見つけようとしています。
近い将来、白いチタン製の歯が、あなたのお口にいる日が来るかも知れません。
漫画が大好きで今でも読んでいます。特にSF系やファンタジーものが好きです。研究のアイデアは漫画やアニメから着想を得ることもあります。子供の頃はロボットアニメに親しんだガンダム世代でもあります。超合金ロボット玩具の「超合金」「アルミダイカスト」「ガンダリウム合金」の謳い文句にワクワクしていた子供時代でした。尚、アルミダイカストは実在するアルミ製部品の鋳造法です。またガンダリウム合金はチタン合金なんだそうです。
「酸化膜被覆Ti合金の界面微細構造解析と複合材としての力学特性予測」
◆ 三浦先生のページ
◆主な業種
(1) 非鉄
(2) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(3) 電気機械・機器(重電系は除く)
◆主な職種
(1) 生産技術(プラント系以外)
(2) 設計・開発
(3) 品質管理・評価
◆学んだことはどう生きる?
チタンの表面処理の研究をしていたとても優秀な学生さんが、金属の表面処理の会社に就職し、研究開発に従事して学会発表などもされているそうです。
工学部機械・材料工学科材料工学コースでは、金属や半導体材料の研究を専門とする教員と、大学の放射光施設ニュースバルで材料創製や分光分析測定技術を研究する教員が所属しています。放射光を用いた材料分析は材料の評価手法の中でも重要な手法の一つですが、材料学に加えて放射光施設を用いた材料評価手法や装置開発も学べる学科は日本ではここだけです。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 心理学か航空宇宙工学 |
|
Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? カナダかタイ。カナダは大学時代に語学留学し、住みやすいと思ったから。タイは子供時代住んでいたから。 |
|
Q3.一番聴いている音楽アーティストは? MAROON5『Sunday Morning』、椎名林檎『丸の内サディスティック』 |
|
Q4.好きな言葉は? In the middle of every difficulty lies opportunity |