最先端テクノロジーを支える永久磁石。その高性能化を目指して
物質の性質は電子の分布で決まる
物質を構成する電子は、普通の顕微鏡では観察できないほど小さな存在ですが、物質の性質を決める非常に重要な要素の1つであり、物質内部で電子がどのように分布しているかによって物質の性質が決まります。
電子の分布をシミュレーションして、実験と比較
電子の分布を探るアプローチの1つとして、コンピュータ上で電子の分布を計算・シミュレーションし、物質の性質を明らかにする方法があります。シミュレーションにより得られた理論結果と、実験で得られた結果を比較することで、双方向から物質の性質を明らかにしていきます。
理論と実験の解釈に一致が見られない場合はその原因を考え、理論と実験の内容を改善していきます。もし、実験と理論で解釈が一致すれば、その結果が正しいであろうと認識されます。物質科学において、理論と実験の橋渡しをするこのような研究領域を「計算物質科学」と呼びます。
弱点を克服し、材料分野に貢献
私の研究室では、計算科学の手法を駆使することで物質科学分野の課題を解決する研究を行っています。例えば、最先端テクノロジーを支える材料の一つである永久磁石です。これらはハイブリッドカーのモーター部分等の利用で有名です。
弱点として、高熱な場所(エンジンルーム等)ではその性能が著しく低下することが挙げられますが、実験的に電子を直接観測することは難しいため、その詳細な理由は分かっていません。このため、計算物質科学の手法を用いて磁石内部の電子分布を調べることによって性能低下の原因を探ることができれば、材料開発の分野に大きく貢献することが期待できます。
小柴昌俊先生がノーベル物理学賞を受賞されたこともあって、高校時代は物理学、特に宇宙や素粒子といった分野に興味を持ち、大学では物理を専攻しました。そのまま素粒子物理学を専攻しようと思いましたが、大学在学中に学んだコンピュータシミュレーションによる物質予測とプログラミングに興味を持ったことがこの学問を選んだきっかけです。また教育の道にもずっと魅力を感じていたので、研究と教育の2つをかなえられる大学の教員になりました。
「計算科学と機械学習の組み合わせから紐解く永久磁石材料の電子論」
名桜大学の健康情報学科では、数理、情報、データサイエンス、健康の基礎知識を学ぶことにより、様々な分野でデータを活用し新たな価値やサービスの創出に貢献できる人材を育成しています。また、「診療情報管理士」認定試験に必要な全科目を履修することができる国公立大学でも数少ない学科の一つです。沖縄県という特異な環境を活かし、健康・IT・自然科学分野の地域課題解決を学生の皆さんと一緒に考えるアットホームな雰囲気の学科です。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 迷わず、学生時代と同じ物理学科です。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 同じ島国で日本と気質が似ているイギリス。独特のユーモアや、無料の博物館、美味しいビールが飲めるお店がいっぱいあるなど、(住んだことはありませんが)ゆとりのある生活環境が魅力に感じます。 |
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Q3.感動した/印象に残っている映画は? 『Good Will Hunting』 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? コンビニエンスストアのバイト(当時は時給610円)。あれだけ多くの業務が小さな店舗にまとまっているということに驚きを感じました。 |
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Q5.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 自分が設立した会社と社会との関わりを考え、お互いの成長につなげるアイディアを模索すること。 |