工学で虫歯の治療!? 「電波」は医療にも大活躍
「どうして」を考えるのが科学
皆さんは「食後は歯を磨きましょう!」と教育を受けた時、どう感じましたか?
「どうして歯を磨く必要があるの?」そして「もしも歯を磨かなかったらどうなるの?」そんなことを考えたことがあれば、きっとあなたは興味関心を持つ意識が高い人だと思います。虫歯にならないために歯を磨くのですが、「どうして歯を磨かないと虫歯になるのか?」。それを考えるのが科学です。
そして私は虫歯を見つけ、適切な処置を受けられるようにする技術を研究しています。
虫歯を治すのは歯医者さんだけじゃない
ここまで読んだあなたは「虫歯の研究の話なの?」と思っていることでしょう。そうです、私は今まさに虫歯の研究をしています。
「だったら歯医者(歯学部の先生)さん?」と思いましたか。いいえ、私は工学部電気電子工学科の教授です。
虫歯=歯医者と思うのは普通のことでしょう。でも、歯医者さんだけの力では、虫歯になる理由も、虫歯の検査も、そして虫歯を治療することもできないのです。
がんや虫歯、さまざまな医療に応用
私は「電波」と呼ばれる物理現象を研究している大学の教授です。
電波は、私たちの生活を支える技術の中心です。「スマホ」を毎日使っていますか?目の前にはいない人々とメッセージのやり取りができる技術を「無線通信技術」と呼び、電波が大活躍しています。
電波は、無線通信技術だけでなく、虫歯を見つけたり、虫歯を治したりすることにも使えるのです。虫歯だけでなく、身体に傷を付けずに癌を見つけたり、治療したりすることにも使われていますよ。
医学部へ進学するか、物理系の学部へ進学するか随分悩みました。そうしてまず、医師になるか、科学の研究者になるかを選び、その結果、物理系の学部への進学を決めました。
しかし、医学への興味も修学意欲も高く独学で様々に学んだ結果、現在の専門と医学との融合した研究に取り組むことにしました。実は、大学生の頃からこのことを考えていたのです。
「初期虫歯(表層下脱灰)の電波応用計測法の開発と「歯」数値計算モデルの提案」
◆ 松永研究室 HP
静岡大学の工学部電気電子工学科は、医療工学、つまり、医療検査機器開発につながる研究を実施している研究者が多いことが特徴です。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医学部。医学部へ進学しようか物理関係の学部へ進学しようか悩んだ経験がある。医学部に行かないと医師免許が取得できないことを考えると、医師免許を取得することが目的で医学部へ行けば良かったと今は思っている。IT化やDX化が進んだ現代社会では、能力さえあれば物理や工学は自力でも学べるから。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アメリカ合衆国。能力さえあれば、自分が自分でいられるから。日本は能力があっても、画一化を強制されるから。 |