バイオセンサーのはなし 生体分子や細胞を用いた新しいバイオ計測法
軽部征夫(日刊工業新聞社)
この本では、バイオセンサーとは何か、どんな原理でどんな技術を使って計測を行うのか、バイオセンサーの種類、利用例、最近の動向などが紹介されています。高校生には少し難しい内容もあるかもしれませんが、バイオセンサーを開発するには多岐にわたる知識が必要ということを感じてもらえると思います。
あまり知られていませんが、バイオセンサーは医療・食品・環境分野などいろいろな分野で応用されています。現在、世界で最も普及しているのは血糖値センサーですが、バイオセンサーはこの先どんどん身近なものになっていくと思います。どんなところで使われているかちょっと気にかけてもらえるようになると嬉しいです。
多種多数の物質を高速で検出するバイオセンサーの実現
多機能腕時計にもバイオセンサー
バイオセンサーというものを知っていますか?言葉は聞いたことあるし、名前からなんとなくは予想できるけど・・・、という人が多いのではないでしょうか。
大雑把に言ってしまうと、バイオ=生物に関連する化学物質や物理現象を検出するための素子や装置はすべてバイオセンサーです。例えば、血糖値測定装置はバイオセンサーですし、多機能腕時計に搭載されている心拍計や活動量計もバイオセンサーです。
検出したいものに合わせた仕組みが必要
バイオセンサーに関する研究では、対象とする物質や現象を検出するための仕組みを考え、それを作り上げます。検出の対象は多岐にわたるため、様々な分野の研究者がバイオセンサーの研究を行っています。
新たな発案で弱点を克服
私の現在の興味は、多種かつ多数の生物関連化学物質を高速で検出可能なバイオセンサーの実現にあります。
検出に電気化学的な手法を使用するバイオセンサーは感度が高く、汎用性も高いのでたくさん研究されています。しかし、多種多数の対象を検出したいときには、手間や時間、費用がたくさん必要になるところが弱点だと私は考えています。
この弱点の克服を目指した結果、電気化学バイオセンサーの基本形から大きく外れる必要があり、発案からセンサーとしての機能が確認できるまでに数年を費やしました。現在は、測定値が何を意味しているのか悩みながら、センサーの基本性能の評価や高性能化に取り組んでいます。
「バイポーラ電気化学に基づく走査型免疫センサによる迅速な多検体連続検出」
◆主な業種
(1) 医療機器
(2) 半導体・電子部品・デバイス
(3) その他の化学系
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 生産技術(プラント系以外)
(3) 生産管理・施工管理