スマホが自動で充電される時代を目指して
電線を使わず電気を送れる?
太陽から地球までの距離は約1億5,000万kmあります。太陽と地球の間は、何もない宇宙空間ですが、太陽のエネルギーは、この何もない空間を伝わって私たちの元へと届けられています。
一方、発電所で作った電気のエネルギーは、電線を伝って私たちの元へと届けられます。なぜ、私たちは電線がないと電気のエネルギーを移動させることができないのでしょうか?きっと、人類が未だ発見していないだけで電線を使わずに電気のエネルギーを自由に移動させる方法はあるはずです。
それを発見したいと思ったことが、私がワイヤレス給電の研究を始めたきっかけです。
電力を自由に移動させる装置を開発
現在、私は空間反転対称性と時間反転対称性という2つの対称性を組み合わせたPT対称性という、物理的な条件(状態)を利用し、電気のエネルギーを自由に移動させる装置の開発を民間企業と共同で行っています。
PT対称性とは「エネルギーを作り出す物」と「エネルギーを消費する物」が、「自分」と「鏡に映った自分」の関係ように、瓜二つに見えるような状態を言います。
基礎はエネルギー保存の法則
自分と鏡に映った自分が同じ姿であるこは当然のように感じますが、PT対称性も言わばごく自然な状態なのです。PT対称性が成立すると、中学、高校で習う「エネルギー保存の法則」が成立します。
エネルギー保存の法則が成り立つ空間内では、電気のエネルギーを自由に移動させることができます。私は、ポケットの中のスマートフォンが自動的に充電される未来が来ると考えています。
大学の4年生ときビデオ教材制作のアルバイトで行った「水波」の実験が、現在の研究分野に至ったきっかけです。スクリーンに映した波紋がとても綺麗たっだのを今でも覚えています。実験で感動したのは、それが初めてたっだと思います。
ビデオ撮影の後、教授の先生に「なぜ波紋が乱れず綺麗な模様を描くのか?」をお尋ねしたところ、コヒーレント波の話をして頂きました。その後、波が運んでいたのは水ではなくエネルギーであることを知り、コヒーレント波でエネルギーを運ぶということに興味を持ち、現在に至ります。
「空間・時間反転対称性により実現する移動対象へのワイヤレス給電」
◆主な業種
(1) 電気機械・機器(重電系は除く)
(2) 半導体・電子部品・デバイス
(3) コンピュータ、情報通信機器
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 生産技術(プラント系以外)
(3) 品質管理・評価
◆学んだことはどう生きる?
卒業後の進路に関しては、機械や電子機器メーカーの設計として活躍する卒業生が一番多いです。また、中学、高校の理科の先生になられる方もいます。
私の研究室では単に理論研究だけではなく「モノづくり」を行います。そのため、CADと呼ばれる機械や電子回路を設計するためのソフトウェアを教えます。
また、コンピューターシミュレーションやプログラミングも「モノづくり」には必須のため学びます。多くの卒業生は、モノづくりスキルと物理学の知識を活かすことができる設計の職に就いています。
岡山理科大学の物理学科は、学生数も先生の数もそれほど多くない、アットホームな雰囲気の学科です。大学1、2年生の低学年から物理学科の先生と親しい関係になり研究室に出入りしている学生も多いです。
多くの学生は、宇宙、天文、素粒子論に興味があり入学します。この分野の在籍教員数は充実しており高レベルの研究を行うことができます。
また、私のように企業との共同研究として製品開発を行う研究室もありますので、就職活動の際は、そのような経験が強みになります。
(1)最強の電磁石を作ってみよう! ルールは電源として使えるのは単三電池1本のみ。その他はどんなものを使っても構いません。強い磁力の電磁石を作ってみましょう。釘が何本持ち上がるか?を基準に強さを調べてみて下さい。形や素材だけでなく温度なども変えてみましょう。奥が深いと思います。
(2)綺麗な波の写真を撮ろう! 水波の波紋を撮影する方法を考えて、実験装置を作ってみて下さい。水槽はどうするか?波源は?スクリーンは?照明は?カメラの設定は?奥が深いと思います。理科や物理の教科書より綺麗に撮影できれば、教材としても価値があります。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? ロボット工学 |
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Q2.感動した/印象に残っている映画は? ハウルの動く城 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 陸上 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 土木(道路工事) |