水で水をキレイに!持続可能で安全な水をつくる技術
世界人口の約1/4が安全な水を利用できない
人間にとって水はなくてはならないものです。しかし、世界の人口の約1/4にあたる約20億人が安全な水を利用できていません。
SDGsの目標6では2030年までにこの問題を解決することが定められています。電気を使えない人は世界で約7.3億人と言われていますので、この水の問題の深刻さが分かるでしょう。この問題を解決する水の浄化技術が必要な訳です。
水や大気に悪影響がない浄化物質とは
水の浄化と聞いて、塩素による浄化を思い浮かべる人も多いでしょう。塩素などの化学物質を使用するとその物質の成分が水に残るか、大気に放出され、新たな健康や環境問題につながります。金魚を飼うために水道水のカルキ抜きをしたことがある人もいるでしょう。
Aという物質で水をキレイにしたら、Aという物質の成分が、水か大気に残ってしまうのです。それでは、Aが何だったら良いのでしょう?水だったら問題ない!つまり、水で水をキレイにするのです!
酸素をプラズマ化、オゾンをつくる
水で水をキレイにすることは夢のような話ですが、この夢を実現するために、電気分解と燃料電池、低温プラズマの力を借ります。簡単に原理を説明すると、極少量の水(H2O)の電気分解によって水素(H2)と酸素(O2)に分解し、酸素をプラズマ状態にしてオゾン(O3)をつくります。オゾンは水の浄化に効果的で、いずれ酸素になります。これで、水で水をキレイにしたことになります。
また、水素は燃料電池に送られ、大気中の酸素と反応し、電気をつくり、省エネを実現します。このHとOのサスティナブルな循環変化で、環境に負荷をかけずに持続可能な水の供給ができるのです。
私は流体工学の中でも機能性流体を専門にしています。中でも、磁性流体や低温プラズマの応用を研究しています。水で水をキレイにする研究も低温プラズマの応用です。
研究には誰もが知っているがまだ解明されていないことを解明する研究と、これまでに誰もやっていなかった全く新しいことを行う研究があります。私は後者の研究をしたいと思っていました。それには融合分野の研究が適しています。そこで出会ったのが機能性流体です。磁性流体やプラズマは流体力学と電磁気学の融合分野です。
「水で水をキレイにする燃料電池を用いた低温プラズマ水質浄化装置の高機能化」
◆主な業種
(1) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(2) 精密機械・機器(医療機器・光学機器を除く)
(3) 電気・ガス・水道・熱供給業
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 製造・施工
(3) 生産管理・施工管理
日本工業大学は実工学教育と呼ばれる、専門的な学問の修得に加え、実践的な工学教育を行っています。機械加工の設備や分析装置なども充実しています。
私のような新しい技術を生み出すことを目的とした研究では、既存の実験装置というものが存在しません。自ら実験装置を考案し、作らなければいけないのです。本学の実工学教育を受けた学生は精度の高い実験装置を作ることができるので、世界にここにしかない実験装置を使って、ユニークで新しい研究を進めることができます。
日本では安全に管理された水を簡単に手に入れることができます。水道の蛇口から出る水も飲むことができます。皆さんの家庭に供給される水はどのような処理と管理をされてきたのかを調べてみましょう。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? フランスに留学していたので、やはりヨーロッパに住みたいと思います。それぞれの国に良いところがあるので一か国には絞れません。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? ジャズギターリストのウェス・モンゴメリー。彼の『フル・ハウス』は名盤中の名盤です。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 軽音楽部 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 水泳と筋トレ |