難易度が高い、化合物半導体を作るプロセス研究の面白さ!
さまざまな段階からなる半導体の研究
半導体の研究は、半導体の設計の研究、半導体を作るプロセスの研究、半導体デバイスの特性の向上をめざした研究などがあり、私が行っているのはプロセスの研究です。今は主に酸化ガリウムや窒化ガリウムなどの化合物半導体のプロセスを研究しています。
2つ以上の元素でできた化合物半導体
2つ以上の元素で構成されている化合物の半導体は、1つの元素で構成されるシリコンとは異なり、素子を作製する際には格段にプロセスの難易度が上がります。その過程では、予想もしなかった驚きの現象や結果に出会うこともしばしばで、その問題を一つひとつ解決しながら研究を行います。
特に、「エッチング」と呼ばれる技術を用いてパターンを形成させるプロセスの研究を行い、化合物半導体の信頼性を向上させることに日々尽力しています。
同じガリウム系でも異なる結果が
化合物半導体の研究を始めた当初は、シリコンなどの単一の元素からなる材料とは全く異なる研究結果に出会い、非常に驚いたことを今でも鮮明に覚えています。
同じガリウム系の半導体材料であれば、プロセス後の結果も似たようなものが得られるかもしれないと思い、酸化ガリウムの研究にも着手するようになりました。しかし、酸化ガリウムではまた全く異なる結果が得られ、化合物半導体の面白さに夢中になりました。日々トライ&エラーの連続ですが、化合物半導体のプロセス研究はとても面白いです。
高校時代は化学が大好きで、大学では材料に関する学科を志望しました。半導体は物理に近いイメージを持っていたので密かに苦手意識があったのですが、大学3年生の時に「半導体工学」を教えてくださった先生の授業がとても面白く、苦手意識は完全に無くなりました。授業を受けるにつれ、徐々に半導体の面白さの虜になり、もっと知りたい、もっと学びたいという思いで半導体の研究室を志望し、それが今に続いています。
「酸化ガリウムの表面および界面処理技術の研究」
◆主な業種
(1) 半導体・電子部品・デバイス
(2) 自動車・機器
(3) 電気機械・機器(重電系は除く)
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 設計・開発
(3) 製造・施工
◆学んだことはどう生きる?
当研究室は半導体プロセスを専門に行っている研究室なので、卒業後も半導体プロセスエンジニアとして活躍している卒業生が多いです。
プロセスに関してはノウハウに秘められた部分が多く、また、プロセス全体を通した経験と知識を持っている学生はとても少ないので、プロセスのレシピを組むインテグレーターとして活躍している卒業生も多いです。
*半導体における各プロセスの詳細条件をレシピといいます。料理と同じですね。
九州工業大学情報工学部は、日本で初めて情報工学部を開設させた大学です。2024年現在、国立大学で情報工学を学部として持っている大学は九州工業大学のみです。
情報と工学が融合した学問を学ぶことができる本学部では、全学科でプログラミングを学びます。機械、電気電子、生物化学などの分野でも、プログラミングの技術を習得でき、エンジニアとしての幅を広げてくれる学部です。
(1)2050カーボンニュートラルを実現するためには、どのようなことを実行することが有効なのか考えてみましょう。
(2)世界で初めてのコンピューターはどのようにして生まれたのか、その背景を調べてみましょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 今と同じ半導体工学。これほどまでに私たちの生活環境を変えてきた学問はないと思います。 |
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Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 先生の部屋の片付け。当時は、なぜ部屋中こんなに書類があふれているのだろうと思っていましたが、今になるとよく理解できます。 |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子育て。「子どもが一番の研究材料だ」と言われていた先生がいて、心から同意しています。 |
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Q4.好きな言葉は? 「あきらめたらそこで試合終了ですよ」。スラムダンクの安西先生の言葉です。 |