電力工学・電力変換・電気機器

発電機

フライホイール発電機と高速起動エンジンを用いた停電対策装置


加藤修平先生

日本大学 生産工学部 電気電子工学科(生産工学研究科 電気電子工学専攻)

出会いの一冊

モーターファンイラストレーテッド Vol.188  充放電リチウムイオンバッテリー最前線

モーターファン別冊(三栄書房)

電気自動車(EV)は今後数年で爆発的に増加するでしょう。ただ、電気自動車はスマフォと同じく電池で動きますので、いつかヘタります。

では電池の劣化(ヘタり)とは具体的に何なのか、クルマの性能にどのように影響するのか、電池の将来はどうなっているのか、自動車開発は電池開発一辺倒でいいのか、エンジンと電池の共存(ハイブリッド車)は今後どうなるのか、などを絵で読み解くことができます。

こんな研究で世界を変えよう!

フライホイール発電機と高速起動エンジンを用いた停電対策装置

課題は電池の劣化

皆さんが使うスマホは2年ほどで買い替えますよね。その理由の多くは、電池の劣化(朝に充電しても夜までもたない)です。

容量の大小は別としてスマホ以外にも、例えば半導体製造工場などで停電に備えて巨大な電池が使われています。ただ、この電池も数年で交換が必要です。電池は年々改良されてはいるものの、未だに数年の短い寿命が大きな課題の1つになっています。

鉄の円盤の回転運動エネルギーを電力に

実は電池以外にも電気を貯められる方法があります。それは大きな鉄の円盤(フライホイール)を回転させておくことで運動エネルギーとして貯めておく方法です。慣性の法則で予めフライホイールを回しておけばその後も回転を続けるため、停電で電気が必要なときは発電機を接続して電気を工場設備へ供給できます。

フライホイールは回転しているだけなので、電池と異なり何回発電しても充電しても一切ヘタりません。素材は鉄のため、国内だけで作れて、古くなったときにはリサイクルもできてサスティナブルということですね。

ただ、フライホイールにも弱点があります。それは皆さんも何となく想像できるかもしれませんが、発電が数十秒程度で長続きしないことです。そのため、私はフライホイールの弱点克服を研究しています。

数秒で起動するエンジンと併せて

具体的には、フライホイールが短時間発電している数秒の間に、長時間発電できる燃料の入ったエンジンを即座に起動させようという考えです。この方法では回転中のフライホイールの慣性力とクラッチでエンジンを起動させる実験をしています。ただ、エンジンは空気と燃料の比率(空燃比)が適切でないと、うまく燃焼せずパワーを出してくれません。

このように数秒でフルパワーが出せるエンジンが実現できれば、フライホイールと併せて停電のときに燃料の続く限り工場設備を稼働させ続けられます。今、この研究はまだ実験段階ですが、電池の不得意分野をカバーするフライホイールを使って、私はサスティナブルな社会の実現を目指しています。

フライホイール(黒い円盤)と高速起動エンジンの軸の中心を合致させ、滑らかに回転するように微調整しています。
フライホイール(黒い円盤)と高速起動エンジンの軸の中心を合致させ、滑らかに回転するように微調整しています。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

私は小学生の頃はとにかくモノを分解して中身を確認するのが好きでした。中学まではそれでよかったのですが、高校生になると物理や数学が難解になり、受験勉強についていけなくなりました。

そこで、父親が電気関連の仕事ということもあり、「電気だけはしっかり勉強して父親を超えよう」という考えに至りました。物理で「電気回路」を本格的に学ぶのは高校生の比較的後半だったおかげで理解が進みました。

大学1年では授業とは関係なく独自に秋葉原で部品を集めて、人感センサー回路で自宅玄関灯を自動でオン・オフさせる回路を作り、どんどん電気に興味が湧いてきました。みなさんも何か1つでも良いので集中できる分野を持つと良いと思います。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「フライホイール発電機と空燃比制御による高速起動エンジンを用いた停電対策装置」

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フライホイール式アシスト自転車の製作過程でのフライホイール装着作業。これが実現すればバッテリーとモーターが不要なアシスト自転車が完成します。
フライホイール式アシスト自転車の製作過程でのフライホイール装着作業。これが実現すればバッテリーとモーターが不要なアシスト自転車が完成します。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 自動車・機器

(2) 鉄道

(3) 重電系

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) 基礎・応用研究、先行開発

(3) 生産技術(プラント系)

◆学んだことはどう生きる?

私の研究室の卒業生の多くは鉄道会社や大手自動車会社や家電メーカーに就職します。とにかく動くモノを創るというコンセプトで発電機やインバータやエンジンなどを研究しています。

それらの知識を活かして卒業生はハイブリッド自動車の発電機設計、鉄道会社の新車両設計、洗濯機の高効率モータの設計などに携わっています。

先生の学部・学科は?

私の所属している日本大学生産工学部電気電子工学科ではプラズマ、人工知能の応用、レーザー、超高速通信、超伝導、電気自動車、照明などの研究ができます。

特にプラズマは太陽と同じ原理の装置を地球上に作り発電する核融合発電という人類の長年の夢に向かって様々な未解明の現象を解き明かす研究です。国内外の多くの研究機関と共同で核融合発電に向けて取り組んでおり、当学科はその高精度なプラズマ科学で世界をリードしています。

また、当学科にはチャレンジラボと呼ばれる「なんでも作れる部屋」があります。ここは電子工作の基本のはんだごては勿論、金属加工機、髪の毛と同程度の超高精細3Dプリンタ、アクリルやベニヤ板をカットできるレーザー加工機、全自動の回路基板作製機、など数多くの最先端の機材が揃っています。これはみなさんの自由な発想を今すぐカタチにできる部屋です。

電気自動車の航続距離を延ばすエコなアクセルペダルの性能を評価するために試験走行(試験運転)しています。
電気自動車の航続距離を延ばすエコなアクセルペダルの性能を評価するために試験走行(試験運転)しています。
先生の研究に挑戦しよう!

フライホイールとは独楽(こま)のことです。ひとたび回転させると、その後は力を加えなくても慣性の法則で回転を続けます。空気抵抗や独楽(こま)が触れている地面との摩擦でいずれは止まってしまいます。

一般的な独楽(こま)は三角錐のような形状で、それなりに長く回転を続けます。ただ、これは独楽(こま)を回す紐を巻き付ける都合で三角錐のようになっているだけです。では、どのような形状の独楽(こま)が最も長く回転を続けられるか考えてみませんか?

例えば独楽(こま)の体積が一定という条件で、空気抵抗を低減できると思われる形状を色々と紙と鉛筆で描いてみると面白いと思います。

中高生におすすめ

未来はすべて決まっているのか ニュートン力学vs.量子論

ニュートンムック Newton別冊

ニュートン力学と量子力学の境目という現代の科学でも解き明かすことの出来ない内容に関して、絵を中心に現象の理解を深めることができます。この本は紙面のほとんどが絵のため、数式が苦手な高校生におすすめです。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

昆虫などの分野

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

「アンパンマンのマーチ」(そうだ、うれしいんだ・・・という歌い出しの曲)、「それじゃただの大人だろ」(竹原ピストル)

Q3.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

『ダービースタリオン』(競走馬育成ゲーム)

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

子育て(4歳、娘、自分で考えることを定着させるための接し方)


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