岩石に刻まれたマントルの変化の歴史を読み解く
液体のように流動変形するマントル
地球はゆで卵のような構造をしています。
ゆで卵の中心・黄身の部分が核、白身がマントル、外側の殻の部分が地殻に対応します。地殻とマントルは岩石、核は金属鉄でできています。
マントルは固体の岩石ですが溶けることなくゆっくり流動変形しており、これをマントル対流と呼びます。固体が変形するというのはイメージしにくいかもしれませんが、時間をかければ固体も液体のように流動します。
地球ができてから現在までマントル対流により物質循環が起き、地球内部の熱は地球表層に放出されます。
マントルの変形を知ることは地球の熱的・化学的進化を考える上で重要です。
地殻変動で露出した岩石から変形プロセスを読み取る
私はマントルの変形について(1)実際に山で岩石を採取したり、(2)実験室で岩石を変形させることによって研究しています。
地殻変動により過去地球深部にあった岩石が地上に露出することがあります。私はこのような過去に地球のマントルで変形した岩石を採取、分析することで岩石に記録された変形プロセスを読み取る研究をしています。
また実験室でマントルの岩石を変形させ、どのような条件でどのくらい変形するのか調べる研究もしています。
近いようで遠い地球内部のマントル
人間はアポロ計画で地球から38万km先の月に降り立ち、今度は火星に行こうと計画しています。遠い月には行ったことがあるのに、我々が立っている地面の下、30kmから2900kmの地球内部のマントルには行ったことも、穴を掘って岩石を採ってきたこともありません。
近くて遠いマントルの変形に思いを馳せながら学生さんと一緒に日々研究に奮闘しています。
小学校の担任の先生が地学の先生で、学校の近くの河原にクラスで行って、これは〇〇という岩石で・・・と大地の成り立ちを説明してくれました。色々な色や形の石に起源があり、多彩な鉱物によりできていることに感動したのが石に興味を持ったきっかけです。
大学に入り地学研究会というサークルに入りました。みんなで大学の屋上で流星群や惑星を望遠鏡で観察して、宇宙は広いことを実感し地球についてもっと知りたいと思ったことが地球科学を学びたいと思ったきっかけです。
「電場で岩石の粒成長、粘性率は変わるのか?」
◆ 田阪研究室HP
◆主な業種
(1) 電気・ガス・水道・熱供給業
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(3) 建設全般(土木・建築・都市)
◆主な職種
(1) 技術系企画・調査、コンサルタント
(2) 製造・施工
(3) システムエンジニア
◆学んだことはどう生きる?
卒業後は、インフラ系の企業や地質コンサルタント、公務員になる人が多いように思います。
研究で得た知識が直接何か仕事を行う上で役立つとは思いません。科学は日々進歩するものなので、我々も日々勉強を積み上げて行かないと進化できないと思っています。でも研究する中で培った、論理的な思考力や粘り強さ、プレゼンテーション能力はどの仕事にも役立つと思います。
静岡大学は山や海に恵まれ自然豊かな場所にあります。地球科学科1、2年生で行う野外実習では富士山や浜名湖など静岡県近郊の自然を回りながら、地球科学の面白みを実際に見て触って学ぶ機会があります。3年生後期から研究室に配属され地震、火山、岩石・鉱物、古生物、海洋環境など多彩な専門分野を持つ教員が学生さんと一緒に勉強・研究する環境が整っています。
河原で岩石を拾って分類してみましょう。川の上流にどんな山がありどんな岩石が産出するか調べ比較しましょう。産総研のシームレス地質図や地質ナビを使うと、どこにどんな石が出るか地図上に書いてあるので、便利です。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? やっぱり地球科学を勉強したいです。山とか星とか見るのが好きです。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アメリカです。大学を卒業してアメリカの大学で3年半研究員をしていました。苦労も多かったけど刺激も多く楽しかったです。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 地学研究会に所属していました。星を見るのが好きです。山登りも好きです。 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 岩石を切って磨きガラスに貼り付け光が透けるくらい薄くした薄片と呼ばれる切片を作製し、顕微鏡で鉱物を同定して報告する地質コンサルタントのアルバイトをしていました。特殊技術なので重宝されます。 |