思想史

フーコーの権力理論

学校や社会で、権力への服従を作り出す権力


佐藤嘉幸先生

筑波大学 人文・文化学群 比較文化学類(人文社会科学研究群 人文学学位プログラム 現代文化学サブプログラム)

出会いの一冊

ミシェル・フーコー 権力の言いなりにならない生き方

箱田徹(講談社現代新書)

フーコーの思想、とりわけ権力理論を、最新の研究動向も含めて、高校生にもわかるよう解説した入門書です。

「権力はあらゆる関係に遍在し、私たちの生を絡めとり、型にはめ、標準化する。そうした権力が織りなす現実を耐えがたいと感じたとき、状況を批判的に捉え、いまとは違った社会を、自分を、実現する道はどこにあるのか。権力の実態について徹底的に考え抜いた思想家の思考と闘争の軌跡から、その鍵を探る。」(本書紹介より)

こんな研究で世界を変えよう!

学校や社会で、権力への服従を作り出す権力

監視されると自分で自分の行動を律する

私が研究しているのは、20世紀フランスの哲学者、ミシェル・フーコーの思想で、とりわけ彼の権力理論について研究しています。

みなさんは、「パノプティコン(一望監視装置)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「パノプティコン」とは近代の監獄の建築様式を指す言葉で、中央の監視塔にいる看守が自分の姿を見られることなく、その周囲に配された独房内の囚人たちを監視するシステムのことです。フーコーは『監獄の誕生』の中で、パノプティコンによる恒常的な監視によって、囚人たちは常に自分が監視されていることを意識し、自分で自分の行動を律するようになる、と述べています。

これは例えば、学校で、テストの時間に先生が教室の後ろに座って生徒たちを監視すると、生徒たちは先生の視線を意識して自分で自分の行動を律するようになる、というシステムと同じものです。フーコーは、監視と処罰の組み合わせによって各個人に権力を内面化させ、権力に服従させるタイプの権力を「規律権力」と呼んでいます。

権力研究は、自由への問い

先ほど学校の例を出しましたが、みなさんも学校での普段の生活の中で、無言の形で、しかし効果的に権力への服従を作り出す権力を意識したことはないでしょうか。私自身、このようなフーコーの権力理論は、学校や社会で私たちを縛る権力のあり方を明快に明らかにしており、とても刺激的だと感じました。そこから、フーコーの思想を研究することになったのです。そしてその研究は、「いかにすれば私たちは社会の中でより自由に生きられるか」、「より自由な社会とは何か」、という問いに直結しています。

ミシェル・フーコーの生家(フランス、ポワチエ)。現在では(おそらくフーコーの意思に反して)ボルドー地区刑務所課地域局として使われている。
ミシェル・フーコーの生家(フランス、ポワチエ)。現在では(おそらくフーコーの意思に反して)ボルドー地区刑務所課地域局として使われている。
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ミシェル・フーコーの生家(フランス、ポワチエ)。現在では(おそらくフーコーの意思に反して)ボルドー地区刑務所課地域局として使われている。
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中高生におすすめ

構造と力

浅田彰(中公文庫)

フーコーも含むいわゆる「フランス現代思想」を、初学者にもわかるような明快な議論で紹介した名著。


フーコー・コレクション4 権力・監禁

ミシェル・フーコー、編:小林康夫、石田英敬、松浦寿輝(ちくま学芸文庫)

フーコー自身の著作に触れてみたい人に、『監獄の誕生』前後の論考を収録した文庫本としておすすめ。


道徳の系譜学

フリードリヒ・ニーチェ、訳:中山元(光文社古典新訳文庫)

哲学とは常識とされている考えを疑うこと。いわゆる「価値転倒」を体現したニーチェの最重要著作。フーコーもニーチェの「系譜学」に大きな影響を受けた。

一問一答

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