金色に輝く有機物ができた!金属塗装に代わる材料として期待
知られていない界面活性剤の研究
当研究室は、2007年に発足しました。発足当初から、界面活性剤(みなさんがよく知っている石鹸も界面活性剤です)を研究しています。とくに、まだ知られていない新しい界面活性剤をつくり、その溶液の性質を明らかにすることに力を注いでいます。
学生が金色の有機結晶をつくった!
2010年頃、学生さんが、ある種の新しい界面活性剤をつくるため、合成中間体という界面活性剤のもととなる分子をつくっていました。ある時、その学生さんが、「先生、有機物から金色の結晶ができました!」と走って私のところにやってきました。
私は、「いやいや、そんな簡単に金色なんてつくれないよ。黄色の見間違いでしょう」と学生さんに言ったのですが、学生さんは、「いえ、本物の金色に見えます」と引き下がりません。「それじゃあ」と言うことで、実験室に行って、そのもの自体を見ることに。現物を見て、ビックリ。そこには、フラスコの内側に、べったりと金色の結晶が張り付いていました。これにはたいへん驚きました。
金属にはない、電波を通す特性
これは、ちょっとした発見だと思った私は、すぐに論文化するとともに、金色に見える理由を探り始めます。金色光沢結晶が見つかって、10年以上が経ちましたが、まだ、そのメカニズムは完全に解明できていません。
普通、金色というと、本物の金や樹脂に銅や真鍮を混ぜた塗料が思い付きますが、これらは、金属そのものであったり、金属を含んでいたりしますので、電波を遮蔽する残念な性質があります。一方、私たちの金色は有機物からできており、電波を透過させるのが特徴です。
現在は、様々な物体への金色の加飾方法を開発中で、電波を透過して欲しい装置の装飾で使うため、日々研究しています。
小学生の頃は、買ってもらったミニカーで存分に遊んだあとは、ほとんどのミニカーを石の塊を使って破壊し、ミニカーの構造を観察することにふけっていました(理系分野で行われるリバースエンジニアリングってやつです 笑)。高校時代は、理科の中でも、化学が最も得意でした。他の科目は、授業以外の時間を使って復習しないと知識が定着しませんでしたが、化学だけは、授業さえ聴いていれば、すぐに理解することができました。そのため、深く考えずに、化学系学科へ進みました。
小学校から高校の低学年までは、航空機のパイロットになることを夢見ていましたが、近視となり、パイロットへの道は絶たれました(視力が低下しなければ、パイロットを目指していたと思います)。未解明な現象を理解することに興味があったことと、どちらかと言えば、社交性は低い方でしたので、一人で仕事ができる職業として、大学教員を選びました。
「メタリック塗料の代替を目指した金属光沢有機結晶のバーコーティングに関する検討」
◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(2) 食品・食料品・飲料品
(3) 精密機械・機器(医療機器・光学機器を除く)
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 設計・開発
(3) 品質管理・評価
◆学んだことはどう生きる?
当研究室を卒業後は、印刷、食品、塗料、化粧品方面で就職する学生が多いかと思います。当研究室は、界面活性剤を扱うとともに、その水溶液の物性を追究する、「コロイド・界面化学」という分野を専門としています。先に挙げた業種は、界面の性質をいかに制御するかが重要であり、いずれも、コロイド・界面化学の知識を必要とする進路です。
弊学は、よく、「実力主義」の大学だとか、「留年しやすい」と紹介されることが多いと思います。この実力主義の考えをアメリカ合衆国へ持っていくと、その考えは平凡なものになります。米国基準で考えれば、弊学の「実力主義」は、大学として当然のことなのです。
研究面では、私が所属する学科には、12個の研究室があり、皆さんのやりたいことができる研究室が見つかるかと思います。
(1) タマムシが緑色や紫色を呈するのはなぜか。モルフォ蝶の羽が青色光沢を呈する理由はなぜかを調べてみましょう。
(2) 本物の金属の金がどのようにできたのかを調べてみましょう(少し難しい問題です)。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 理学部か工学部に入るでしょう。地球物理、宇宙物理を研究してみたいです。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アメリカ合衆国。優秀な研究者が世界から集う場所であり、科学のメジャーリーグだからです。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 帰宅部でした。250ccのオートバイを毎日乗り回していました。 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 大きな食パン会社で、柏餅の製造の繁忙期にアルバイトしたことがあります。ベルトコンベアでつぎつぎに送られてくる餅に、葉を付ける作業でしたが、ベルトコンベアが動いているのではなく、自分の体が動いているような錯覚を起こし、目が回りそうになりました。もちろん、1日でアルバイトを辞めました。 |
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Q5.好きな言葉は? 助からないと思っても助かっている |