我々は海の藻が作る酸素を吸っている!世界に先駆け、藻の光合成を研究
光合成の5割は、海の微細藻類が担う
光合成は、30億年以上をかけて地球の大気に20%を超える酸素を作り出し、この酸素に電子を渡してエネルギーを得る、私たちのような生物を維持しています。
20世紀の終わりまで森林が光合成の大部分を担っていると考えられてきましたが、1997年に行われた衛星リモートセンシングと大規模海洋調査の結果から、海が半分以上の光合成を担うことが解明されました。
このうち40%(つまり地球全体の20%)が珪藻と呼ばれる微細藻類が占めることもわかりました。私たちが呼吸をするとき、2回に1回は海が、そして5回に1回は珪藻が作った酸素を吸い込んでいるのです。
一方、珪藻という生物は二次共生という教科書には書かれていない進化を経て葉緑体を獲得した生物で、珪藻細胞の仕組みは全くの謎でした。
珪藻光合成のメカニズムを明らかに
私たちは世界に先駆けて珪藻光合成の分子メカニズム研究を始めたチームの一つです。
私たちのこれまでの研究から、海に溶けているCO2がイオン化した重炭酸イオンを能動的に取り込む輸送体、藻類葉緑体の中心部に存在するピレノイドという(陸上の葉緑体にはない)構造体が、重炭酸からCO2を作って効果的に固定する仕組みの一端、そして、これらの働きを助ける新しい酵素を発見しています。
私たちは現在、珪藻のピレノイドの中で起こっている分子の挙動を解明しようとしています。そして珪藻ピレノイドを作る遺伝子が地球全体に及ぼすインパクトを明らかにする研究を展開しています。一方で珪藻は、光合成で作った有機物を油脂として蓄える生物です。また、珪藻の細胞壁はケイ酸というガラス質でできています。珪藻の基本的な仕組みを理解することで、新たなエネルギー源や、生物材料の開発につながる研究も行っています。
海の生態系は、二次共生生物など、まだ教科書にも書かれていない生物に支えられています。しかし、二次共生生物が真核生物の大部分を占めることを知っている人は多くありません。教科書や分野を超えた、謎に挑む自由な発想が、SDGsには何よりも必要です。理性に基づいた自由な研究を行うことがすべてです。
「珪藻ピレノイドの機能から読み解く、海洋二次葉緑体のグローバルインパクト」
◆主な業種
(1)化粧業界
(2)食品業界
(3)化学業界
◆主な職種
研究開発
多様な生物種の研究を通して、基礎から応用までを研究する布陣です。数理科学や生物情報学も取り入れた、ボーダレスな分野構成になっています。
Q1.一番聴いている音楽アーティストは? 椎名林檎。特に『長く短い祭り』。 |
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Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『薔薇の名前』、『パルプ・フィクション』、『第三の男』 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 競技スキー |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 料理学校の講師 |
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Q5.会ってみたい有名人は? 井上尚弥(プロボクサー) |