IT・AI技術の発展を促進し、弊害を抑える法律とは 便利さの陰で、個人情報が覗き見される危険
科学技術の発展は、私たちの生活を豊かにし、困っている人を助けるものと期待されています。人工知能を持ったAIスピーカーは、話しかけるだけで質問に答え、家電の操作もしてくれます。自動運転車は、自分では運転できないお年寄りにも朗報といえるでしょう。
しかし、便利さの陰で、私たちのプライバシーは、覗き見されています。私たちがスマホで検索した情報、AIスピーカーで聴いた音楽は、あっという間にサービスを提供する企業に知られます。そして、それが思わぬところで利用されるおそれもあるのです。
内定辞退率データ利用疑惑事件
例えば、昨年、就職活動をする大学生が、ある会社から内定をもらった後に、スマホで別の企業のサイトを見たり、試しに応募したりした場合、内定を出した会社が、就活情報サイトを運営する企業から買った内定辞退率データを利用して、その学生が辞退するかどうかを勝手に予想し、採用・不採用を決定したのではないかと疑われる事件が起きました。
もしそんなことがあれば、学生の一生を左右する重大な問題です。
プラス面を損なわずマイナス面を取り除く
このように科学技術の発展には、光と影が伴いがちです。どうしたら科学技術のプラス面を損なうことなく、マイナス面を取り除くことができるか。これは、解決すべき課題を正確に分析し、人々の利益のバランスを図ろうとする法学の最も得意とする問題です。
若い皆さんにも、一人一人の人間を大切にし、社会全体の利益の向上を追究する法学の醍醐味を知ってもらいたいと思います。
「データ駆動型社会の法に関する領域横断的研究 デジタルプラットフォームを焦点に」