試験、初デートなど、様々な不安がありますよね。若い人のココロの不安を知るために、スマホに着目したのが深澤先生です。不安なとき、どんなスマホアプリを見るのか、見ているときの歩く速度や、そのときの心の状態などから、何が見えてきたのでしょう。
スマホがあなたのココロの未来を予想する
高校生のみなさん、明日のテスト、1週間後の初デートなどものすごく不安ですよね。不安はこれからの人生にとって大切です。でも不安が過剰にならないための早めの対策も必要です。私はこうした不安の解消としてスマホに着目してみました。
スマホに僕、私のココロがわかってたまるかって? ええたしかに。でも例えば、元気のあるとき、自然に力がみなぎって、スマホを高い位置で持っていたりしませんか。疲れているとき下がるし、時にはスマホを放り出したりしている。夜、寝つけずにいると、スマホに逃避して、ずっと見続けちゃうとかね。スマホを使った行動で、みんなに共通することがあるんじゃないでしょうか。
そこに着目し、毎日不安か、調子いいかについて約40項目のアンケートを行いました。同時にその人のスマホのログを集めました。
例えば、「照明」や「加速度」「画面のon/off」などを組み合わせると、暗い中でスマホをいじっているのがわかるとか、それに「アプリ」を組み合わせると、「歩きスマホをしながらLINEを見る」といった行動が抽出できることがわかってきました。
そして、調子がよい・悪い、不安がある・ないを区別するために、アンケートの生データとスマホログ記録を、1つの空間にマッピングしてみました。
そして、機械学習やクラスタリングの手法を使って、分析してみました。
クラスタリングとは、異なったものが集まる集合の中から似たものを集めて分類し解析する手法のこと。機械学習は、機械自身が学習し抽出したパターンから将来予測する技術で、人工知能研究に盛んに使われるようになりました。
その結果、何がわかったでしょうか。全員共通のモデルとつくるのは難しいですが、スマホのヘビーユーザーとライトユーザーでは、不安のときの行動の表れ方が異なることがわかりました。
ライトユーザーは、調子のいいときほどFacebookやLINEをよく見る傾向がありますが、ヘビーユーザーは不安なときによく見ます。両者共通することとして、暗い中を歩きスマホするとき、ヘビー、ライトユーザーのどちらも不安なようです。スマホと不安の関係を研究してきましたが、私としては、メンタルヘルスケアなど、スマホを持っているだけで快適な生活が送れるようにしたいと考えています。
脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす
甘利俊一(講談社ブルーバックス)
トップレベルの研究者が平易な言葉で最先端の人工知能研究を脳や心とつなげて解説しています。情報系に興味のある学生全般におすすめです。
情報理論
甘利俊一(ちくま学芸文庫)
通信・情報理論の記念碑的な論文(クロード・E・シャノンの通信の数学的理論)を高校生で十分にわかるように解説された論文です。タイトルは専門的ですが、文庫本であり、数式は高校レベルで書かれています。普段気にすることがない、通信や情報の仕組みに気づくことができます。Computer Scienceは最新の研究が注目され、大学で研究される際には最新の研究成果からスタートすると思いますが、そのときに過去の理論体系を知っておくと理解が非常に速く、またオリジナルなアイデアも出やすいと思います。
大局観
羽生善治(角川新書)
羽生善治の棋士生活25年を通して得た勝負に対する考え方を「大局観」としてまとめた書籍です。若いときの勝負に対する考え方と、経験を積んだ後の勝負に対する考え方の変化が興味深く書かれています。人工知能は教師データを与えてあげればそれを真似するような挙動は可能ですが、未知の問題に対してはまだ脆弱です。経験を積んだ人間が持つ「大局観」は未知の問題の解決の一つのキーになると思われます。これからの人工知能の発展に興味を持つ高校生に読んでいただければと思います。
最近、人工知能の分野では、深層学習の活用が人気を集めており、深層学習では高次のレベルの学習が可能といわれています。ただ、実際にどのような学習が行われているかはっきりはわかっていません。この引用部分の「大局観」が今後の人工知能がまだできていない領域で今後の発展で重要なキーワードになるのではないかと感じています。
私の個人主義
夏目漱石(講談社学術文庫)
自分の進路について悩んでいる方にお勧めです。漱石が就業、留学を経て、「ああ、ここにおれが進むべき道があった!」という感嘆にまで至る過程に励まされると思います。
Epic 2014
2004年の作品で2014年のWebの未来を予想しています。レコメンデーションがあらゆる場所に浸透するとどういった世界になるか未来予想をしています。2004年時点で、Fakeニュースの出現やTwitterを通じた個人の発信を予測しており、衝撃的です。YouTubeで視聴できます。
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そのほか、眉村卓、筒井康隆、星新一等SF作家の作品もおススメです。