トイレットペーパーを使用する1回の平均的な長さは、0.8メートルだそうです。誰も測ったことのないユニークな計測をしたのは、センサ情報処理を専門にする村尾和哉先生です。トイレは誰にとっても秘密の小部屋です。先生は禁断のトイレットペーパーの長さの計測に挑戦し、ヒトの行動的な特徴量を捉え、人間を理解しようとします。
トイレットペーパーの使われ方からヒトを知る!計測センサを使ったユニーク情報処理研究
トイレットペーパーの長さ計測から健康状態を把握
自分はたいして使っていないはずなのに、トイレットペーパーの減りがやけに早いなと思ったことはないですか。こうした疑問に答え、実際に計測するにはどうすればいいでしょう。私たちは、トイレをはじめ風呂、家電製品など様々なモノを使用して生活しています。これらのモノにセンサを取り付ければ、誰がいつ何をどのように使ったかがわかり、日々の生活の改善につなげることができます。
私がトイレットペーパー使用時の平均的な長さを計測するのに用いたのは、角速度センサというものです。このセンサはトイレットペーパーの巻取り速度から、長さを計測できます。ただしトイレットペーパーはロール軸が1回転するたびに、ロール半径は小さくなり、長さも短くなります。そこでロールをモデル化し、数学の知識を使って補正してやる必要があります。そういう方法で長さの平均値は0.8メートルと導き出しました。
長さ以外にも巻取り時間、1回使用に要する速度のばらつきなどの値も得られます。この値を行動の特徴量といいます。人によって異なる特徴量が明らかになれば、トイレの中でだれが何をしていたのかわかるようになるのです。
例えばトイレの使用の日時ごとに記録しておけば、長期的には、冷房のつけすぎとか食べすぎでおなかを壊したタイミングなどがわかり、健康面でのチェックができるようになります。
スマホにぎにぎ、個人情報を守る!新たな認証法の開発
このように人間の無意識の行動から抽出した特徴量を計算し、コンピュータが認識できるようにしてやれば、個々の人を識別してくれることが可能になります。実用面では、コンピュータの個人認証の新しい方法が可能になり、個に特化したサービスを自動的にやってくれるようになります。
例えば、スマホを手で把持する、つまり、スマホをにぎにぎするだけで、指の圧力分布を測定し、個人認証ができるシステムを開発しました。スマホは個人情報を多く保存していますが、紛失盗難も多いです。セキュリティのためにパスワードや顔認証が普及していますが、スマホにぎにぎは、だれかが握り方を盗もうと思っても、なかなか真似をするのは難しいです。新しい認証方法として期待されます。
トイレにも、例えば、便座にセンサを取り付ければ、座面の座り方から、個人を識別ができるようになるでしょう。あるいはお風呂の栓に水圧センサをつければ、湯船に入るときの入り方を水圧センサがキャッチし、そこから太っているのかスリムな体形なのか個々人の体の形がわかるようになります。
冷蔵庫の取っ手に圧力センサをつければ、個々人の開け方や開ける頻度などもわかります。もちろん普通のドアにつけても、ドアの回転からだれがいつ移動したかもわかります。
他人は自分と行動が違うかもしれないことを想像し、そこを深く観察することで、人間を知る新しいカギが見つかるのでないか。私はそう思い、モノの使われ方から、人間を理解することに日々取り組んでいます。
ミッション:インポッシブル
トム・クルーズ主演映画。過去6作品が公開されており、基本的なストーリーは諜報機関の工作員である主人公が犯罪組織に潜入して何かを取り返したりするものです。敵の組織には最新のセンシング技術を用いた侵入検知システムなどいくつかの情報科学技術が登場し、それをいかにしてかいくぐるかというところが面白いと思います。主人公の装備や機器を操作するインタフェースも情報技術を駆使したものが登場します。それらの技術は回を経るごとに進歩しており、現実的に可能か、あるいは現在の技術では実現困難なのではないかという観点から考えても面白いと思います。
NHKの語学番組
英語は仕方なく勉強していると思いますので、英語以外にも触れるとよいと思います。高校生のとき交換留学生がやってきて、彼らはイタリア語とスペイン語しか話せず、英語の無能さを感じてスペイン語を勉強し始め、現在でもたまに役立っています。情報科学ならばドイツが強いですので、ドイツ語を勉強しておくと友達ができたり、将来の研究留学の時に役立つかもしれません。