2015年に大村智先生が「線虫感染症の新しい治療法の発見」を受賞理由に、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。私の研究は、まさにその学問領域です。感染症は人類の大きな恐怖であり、その感染症がどうして起きるのか、そして、それをどのようにして制御するかを探求します。
抗生物質が効かない遺伝子の発生過程に挑む
近年は、感染症や抗生物質耐性遺伝子がどのようにしてこの世に産まれているのか、またそれらが、遺伝情報としてどのように生物の中に保持されているのか、などが研究のトレンドになっており、どのような条件下でそれらが動き出し、悪さをするのかなどがわかってきました。
具体的には、抗生物質耐性に関わる遺伝子が、どのように産まれてくるのかを明らかにしています。抗生物質への耐性を持つことを阻止できれば、薬が効かなくなるということがなくなります。つまり、感染症が激減することになります。人類すべてのヒトを、感染症の恐怖から救うことができます。現在は本研究も進み、遺伝病の発症機構と抑止も、同一の手法で制御できる可能性が出てきました。
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「9.基礎医学・先端医療バイオ」の「33.免疫、細菌等基礎医学(放射線等健康・生態系影響を含む)」
一般的な傾向は?
●主な業種は→製薬、大学教員、化学メーカー、食品メーカー、種苗メーカー
●主な職種は→研究職、総合職、公務員
分野はどう活かされる?
薬の開発・製造、病院での感染制御、大学での教育、食品メーカーでの品質管理
人類の歴史は、感染症との戦いでありました。それだけ身近な話題であるため、感染症や細菌制御の研究は、医学部・薬学部・歯学部・農学部・工学部で行うことが可能で、自分の特徴を生かせる分野に展開できます。
感染症との戦いは、人類の持続的発展には不可欠な事柄です。どの分野に進もうとも、必ず細菌感染・制御の問題はつきまといます。新たな感染症が随時世界のどこかで生まれ、時としてCovid-19のように広がります。
制圧するためには、幅広い知識・見識から始まり、身近な人への正しい知識の啓蒙活動まで、細菌制御の知識は必須で、学んだことが直接的にも間接的にも、生活の上で必ず役立つものです。まず身近なところから正しい知識を習得して、感染症・細菌感染を考えてみてほしいと思います。そして興味がわいたら、ぜひとも自分の力で感染症との戦いに参戦してほしいです。
【テーマ例】
・身近なものを利用して、食品をいかに長持ちさせることができるか
・家のどこに最も細菌が多く、どのようなことをすると細菌は減るのか
・身近な河川・池・水辺・海に、どのくらい抗生物質耐性菌が棲んでいるのか
・口内衛生に歯磨き粉、液体歯磨き、水道水、お茶、ミネラルウオーターなどは有効か
・なぜ、お年寄りが前日に入れたお茶を飲んでも、お腹をくださないのか
・人間のゲノムの中に、どのくらいウイルスの遺伝子の残骸が含まれているのか
など