医療の進歩は、医学によるところが多いと考えがちですが、実は、その多くは薬によるものです。医療系薬学は、どうすれば医薬品をもっと安全に効果的に使えるかを研究する学問分野です。
臨床現場の薬物療法には「理由はわからないけれど、今までこうして使ってきたから」と、経験的に使われているものが多くあります。私は、実際に臨床で使われている医薬品を、より安全に、より効果的に使う方法を研究しています。
薬の疑問とその理由を調べることが、薬を育てることにつながる
薬の疑問の例として、同じ薬でも子ども、大人、老人で効き方に違うものがあったとします。その理由を探ることで、その薬だけでなく、形(構造)が似た薬や、同じ効き目を持つほかの薬でも同じことが言えるようになり、安全に使えるようになるかもしれません。
薬を正しく安全に使えることは、今その薬が必要な患者さんはもちろんですが、将来その薬が必要になる未来の患者さんにとっても重要なことです。このような臨床での疑問を解決する研究により、科学的根拠に基づく薬物療法の実践を目指しています。
「医療系薬学」が 学べる大学・研究者はこちら
その領域カテゴリーはこちら↓
「10.薬」の「37.薬理・薬物動態、臨床薬学・検査」
一般的な傾向は?
●主な職種は→薬剤師(病院、薬局)、研究者
分野はどう活かされる?
医師や看護師などとともにチーム医療に参加して、薬の専門家として患者さんの治療に貢献しています。
薬学の中でも医療系薬学では、どうすればより安全に効果的に薬が使えるのか、調べています。研究成果が患者さんの治療に役立つので、とてもやりがいがあります。
社会に出たら、必要な時に学ぶ・調べることだけではなく、常に「なぜ?」と問題意識を持って仕事に取り組むこと、そしてトラブルを回避し、解決する能力が求められます。
トラブルの回避や解決には、周囲の協力が不可欠です。協力を得るには、自分の意見を相手に伝えること、相手の意見を聞くことが重要です。「問題意識を持って物事に取り組む」「コミュニケーション能力を養う」この2つを意識して、高校生活を有意義に過ごしてください。
薬の中には、冷蔵庫で保管する、日光を遮って保管するなど、保管条件が厳しく決められているものがあります。例えば、日光に当ててしまうとどうなるか確かめてみることで、どれくらい薬が壊れるか、また、日光を遮るための「遮光袋」に入れることで薬が壊れるのを防げるか調べると、保管条件を守ることの大切さがわかります。