生物系薬学

ヘルペスウイルスによる細胞ガン化のメカニズムを解明!抗ウイルス剤開発へ


藤室雅弘先生

京都薬科大学 薬学部 薬学科(薬学研究科 薬科学専攻)

どんなことを研究していますか?

カポジ肉腫は、ヘルペスウイルス8型によって引き起こされる血管腫瘍です。この病型のうち頻度が高く進行が速いものとして、HIV感染によるAIDS関連カポジ肉腫が知られています。

私たちの研究内容は、このウイルスが宿主細胞をがん化するメカニズムの解明です。このヘルペスウイルス8型は、宿主細胞の増殖や免疫に関わるシグナル伝達や細胞内タンパク質分解系を破綻させます。これにより、ウイルス感染細胞は無限の増殖能を獲得するとともに細胞死を抑制し、宿主免疫から逃れることができます。つまり、ウイルスが感染細胞を自身に都合がいいように作り変えて、がん細胞へと変化させるのです。

抗がん剤や抗ウイルス剤の開発も

私たちは、このようなウイルスによる感染細胞内のシグナル伝達やタンパク質分解系の制御メカニズムの破綻の仕組みを解明するとともに、ウイルスによる破綻を抑制する化合物を探索することで、抗がん剤や抗ウイルス剤の開発も展開しています。一方で、ウイルス感染の成立、感染の維持、ウイルスによる発がん等という一連のメカニズムについても解明することで、新規ウイルス薬の開発や治療法開発につなげたいと思います。

この分野はどこで学べる?
学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?

●主な業種は→製薬会社、化学メーカー、病院薬剤

●主な職種は→研究者、治験担当者、薬剤師

先生の学部・学科はどんなとこ

3年生の後期から研究室に配属し、卒業研究を始めます。

もっと先生の研究・研究室を見てみよう
先生からひとこと

科学に関する興味の対象を増やしてください。進路や就職を決める時に必ず役に立ちます。

先生の研究に挑戦しよう!

高校で、ウイルス等の病原性微生物を取り扱うことは不可能ですが、スーパーサイエンス・スクール等では、細胞や大腸菌の培養程度なら可能です。

興味がわいたら~先生おすすめ本

ミトコンドリアはどこからきたか 生命40億年を遡る

黒岩常祥(NHKブックス)

私たちの体細胞の一つ一つに含まれるミトコンドリアが、どのようにして現在のような働きを持つに至ったかや、最新の研究について述べている。細胞生物学の深い理解を、小説のようにわかりやすい文体から得られる良書である。 


眠れない一族 食人の痕跡と殺人タンパクの謎

ダニエル・T・マックス 柴田裕之:訳

スクレイピー病(狂牛病)をヴェネツィアの貴族を主人公とした小説として、面白く説明している。スクレイピー病の仕組みが、異常プリオンの摂取で発症することを理解した上で読むと、この本の面白さがわかるだろう。



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