カポジ肉腫は、ヘルペスウイルス8型によって引き起こされる血管腫瘍です。この病型のうち頻度が高く進行が速いものとして、HIV感染によるAIDS関連カポジ肉腫が知られています。
私たちの研究内容は、このウイルスが宿主細胞をがん化するメカニズムの解明です。このヘルペスウイルス8型は、宿主細胞の増殖や免疫に関わるシグナル伝達や細胞内タンパク質分解系を破綻させます。これにより、ウイルス感染細胞は無限の増殖能を獲得するとともに細胞死を抑制し、宿主免疫から逃れることができます。つまり、ウイルスが感染細胞を自身に都合がいいように作り変えて、がん細胞へと変化させるのです。
抗がん剤や抗ウイルス剤の開発も
私たちは、このようなウイルスによる感染細胞内のシグナル伝達やタンパク質分解系の制御メカニズムの破綻の仕組みを解明するとともに、ウイルスによる破綻を抑制する化合物を探索することで、抗がん剤や抗ウイルス剤の開発も展開しています。一方で、ウイルス感染の成立、感染の維持、ウイルスによる発がん等という一連のメカニズムについても解明することで、新規ウイルス薬の開発や治療法開発につなげたいと思います。
「生物系薬学」が 学べる大学・研究者はこちら
その領域カテゴリーはこちら↓
「7.生物・バイオ」の「21.分子生物学・細胞生物学・発生生物学、生化学(生理・行動・構造等 基礎生物学も含む)」
一般的な傾向は?
●主な業種は→製薬会社、化学メーカー、病院薬剤
●主な職種は→研究者、治験担当者、薬剤師
3年生の後期から研究室に配属し、卒業研究を始めます。
科学に関する興味の対象を増やしてください。進路や就職を決める時に必ず役に立ちます。
高校で、ウイルス等の病原性微生物を取り扱うことは不可能ですが、スーパーサイエンス・スクール等では、細胞や大腸菌の培養程度なら可能です。