日本では、全国で多くの肉牛が飼育されています。特に我が国の固有品種である「和牛」は、その品質から世界に認められています。牛肉のおいしさとは何なのでしょうか。その一要因は霜降りであり、細かい芸術作品のような脂肪が入った牛肉がおいしいのです。一方、脂肪の質が牛肉のおいしさにかかわることもわかってきました。
私たちは、この霜降りや脂肪の質に影響する遺伝子を突き止めようと、遺伝学やゲノム解析を用いた研究を進めています。その結果、いくつかの遺伝子でこれら形質に関係する変異を見つけ、よりおいしい牛肉を作り出せる可能性を見出しました。このような成果は、世界で打ち勝つ高度なブランド畜産物の開発を可能にするでしょう。
アジアにおける家畜のルーツを探る!
世界、特にアジアでは様々な家畜が存在します。このような家畜は、それぞれの地域に適応した有益な能力を有しますが、詳しくは調査されていません。そのような家畜の遺伝的関係、起源や伝播をひも解くことは、その家畜の理解を深めるばかりではなく、人類がたどってきた歴史や文化を明らかにできます。
私はアジア各国で家畜の調査を行い、DNA解析による家畜の起源や伝播を研究しています。その家畜からの成果は、これまで知られていなかった人類の歴史を浮き彫りにし、農畜産文化がいかに人類の発展に重要であったかを知る手掛かりになっています。
「動物生産科学」が 学べる大学・研究者はこちら
その領域カテゴリーはこちら↓
「8.食・農・動植物」の「29.獣医・畜産、応用動物学」
一般的な傾向は?
●主な業種は→製造業、食料品製造業、飲料・飼料製造業
●主な職種は→研究開発、生産製造、品質管理
分野はどう活かされる?
家畜や実験動物の知識を活かし、食品製造業や製薬会社などでの研究開発などに携わっています。
神戸大学農学部の動物遺伝育種学分野は、牛肉のおいしさにかかわる遺伝子を世界で初めて発見し、加えて牛肉の品種・産地判別法の開発に成功しています。
動物、特に畜産動物は私たちの生活に欠かせない食料を生産します。この分野では、まだまだ研究すべき多くの課題があります。私たちと一緒に、日本や世界を支える畜産動物の研究に取り組みませんか!
【テーマ例】
DNAの抽出、メダカやグッピーなどを使った選抜交配実験