エノキやシメジなどのキノコは一年中売っていますが、秋しかマツタケが出回らない理由は、自然の力で育つ以外に人工栽培ができないからです。マツタケは、アカマツの根に共生する菌根菌とよばれる種類の菌です(カビの仲間で、細菌類(バクテリアなど)ではありません)。菌根菌は、マツが光合成で作り出す炭素栄養分をもらうことで、土中に菌糸網を張り巡らし、時として地上にキノコを作るのです。
一方マツは光合成産物を取られっぱなしかというと、自身の根では届かない土の中の無機養分や水分をこの細い菌糸によって集めてもらっています。つまり菌と樹木はお互いに助け合って生きているのです。これを「菌根共生」と言い、陸上植物の8割以上で見られ、この関係なくして植物の健全な生育は期待できません。
植物は、地下部の共生菌の菌糸でつながる共存者
私は、植物共生微生物を通した、環境修復技術の構築や、豊かな森を維持する仕組みの解明に取り組んでいます。ある植物の根に共生する菌根菌は、菌糸を土の中に伸ばして近くの別の植物の根にも定着します。この菌糸のつながりは菌根菌ネットワークと呼ばれ、光合成産物に由来する炭素源を周囲の植物と共有していると考えられています。
もしそうであれば、大きな木に共生する菌根菌のネットワークは、薄暗い森の地面付近で生活する小さな芽生えや、絶滅に瀕する他の植物の生育を支えていることになります。このことは、植物同士は光をめぐる競争相手ではなく、地下部の共生菌の菌糸を介した共存者であり、森の生態系が安定的に維持するのに役立つと考えられます。植物と菌根菌の関係を理解することは、多様な生物が生活する森の仕組みの土台を理解することなのです。
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「8.食・農・動植物」の「27.森林科学、林産資源、バイオマス」
一般的な傾向は?
●主な業種は→食品、公務員
●主な職種は→営業、品質管理、研究・開発、林業職
分野はどう活かされる?
食品関連の業務では、キノコ生産、食品混入微生物の品質管理を行っています。公務員としては県職員(林業職)に就いており、健康な森や木材生産の管理を行ったり、研究・開発業務を進めています。
「資源循環学科」というとピンとこないと思いますが、私はこの学科にある「森林資源環境学教育コース」に所属しています。そこでは、森林学を体系的に学ぶことができます。そして森の多面的な機能の特性を森の成り立ちから木材の利活用まで幅広く理解するため、講義室だけでなく、時には山の中で、時には実験室での実体験も加えて知識を広げていきます。
微生物のほとんどは分離ができない、私たち人類にとっては未知の生き物です。森に潜む微生物を一緒に調べましょう。
・種類の異なる森に発生するキノコ類を調べよう。(スギやヒノキの人工林よりも、ドングリや松ぼっくりを実らせる二次林のほうが、キノコの種類が多い。種類がわからなくとも、本数でも評価できます)
・菌根菌の接種がクロマツの生育に及ぼす影響を調べてみよう。(通常、海岸に生育するクロマツの根には菌根菌の感染があります。実験的に菌のない、もしくは少ない条件下でのクロマツを育てその成長差を調べてください)
・絶滅に瀕する植物(例、ラン科)や無葉緑植物の生えている場所とその森の種類を調べよう。(これは対象植物を見つけることが難しいです。これらの仲間は通常、周辺の特定の樹木との関わりが強いので、生息場所も森の種類も似通ってきます)
三国志
吉川英治(講談社)
三国志は、紀元2~3世紀中国の後漢末期から三国時代にかけて群雄割拠していた時代の歴史書だが、後世、通俗歴史小説として脚色された「三国志演義」をもとに、三国志の世界は日本だけでなく世界中で広まった。吉川英治の名著「三国志」もその流れに基づいている。
この本は、登場人物中で重要な役割を果たす諸葛亮孔明の死まで本編を扱った「新装版 三国志」。全5巻。これ以外に全8巻の完結セットも出ている。三国志の面白さの一つに、登場人物こそ多いが、その中に自分にあった性格が必ず見つかるということがある。その人物の立ち振る舞いは、若い人にとっても自身の今後の人間関係を作っていく上で役立つだろう。