生体内に存在する有機化合物で、特に顕著な生理活性を示すものを対象にした研究分野が「生物有機化学」です。生命現象の解明に貢献し、さらには病気等の理解に応用し、効果的な治療薬の開発の基盤になります。現在用いられている医薬品は「生物有機化学」分野から生み出されたものが数多くあります。
プロテアーゼというタンパク質分解酵素の機能を制御する
私の研究テーマの一つは、アルツハイマー病治療薬の開発です。アルツハイマー病は、脳が萎縮していく病気です。認知機能の低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種です。現在のところ、アルツハイマー病の進行を止めたり、回復させたりする治療法は存在していません。
病因は、ベータアミロイドと呼ばれるタンパク質が、脳の中に蓄積することが原因の一つとされています。ベータアミロイドの生産に関わるのは、プロテアーゼというタンパク質分解酵素と考えられています。私たちは、このプロテアーゼをターゲットとした阻害薬の研究に取り組んでいます。創薬は、私1人で成し遂げられるほど簡単なものではありません。まずはその現象を解明すること、そして、早期発見できるような診断薬の開発をできるようにと考えています。
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「17.化学・化学工学」の「68.有機化学、合成化学(薬設計の技術)」
一般的な傾向は?
●主な業種は→製薬、化学、公務員
●主な職種は→研究開発、工場、教員
分野はどう活かされる?
大学で学んだことを、十分に活かしている卒業生がほとんどです。
私が所属する工学部化学バイオ工学科では、材料、エネルギ-、医療、食品などの分野に貢献できる人材育成を行っています。研究課題もそれに即した内容になっており、化学を基盤に多岐にわたる分野を学ぶことができます。
生物有機化学は生体物質を取り扱い、医薬品、農薬、香料などの開発を目指しています。研究そのものも楽しいですが、それだけでなく、人類の生活を支える実学的な学問とも言えます。興味を持っていただけると嬉しく思います。
【テーマ例】
・医薬品のシーズの探索
・簡単な有機化合物の製造法の習得