明治以前から日本各地で飼育されていた馬は在来馬と呼ばれており、現在、北海道和種(北海道)、木曽(長野)、野間(愛媛)、対州(長崎)、御崎(宮崎)、トカラ(鹿児島)、宮古(沖縄)、与那国(沖縄)の8品種が残されています。北海道和種を除く7品種は、FAOのWWL-DADで絶滅の危機にある品種とされています。
生物多様性は3つの多様性、すなわち環境、種、種内の多様性で構成されています。在来馬はその生物多様性において、種内の多様性を担う存在であるため、保存すべき存在であると考えられています。
飼育者の負担を考えず、安直に「在来馬を残すべき」とは言えない
たしかに在来馬は、地域の気候や風土に合わせて改良されてきた、地域固有の遺伝子資源であるとともに、地域の歴史を反映する生きた文化財としての価値を有する、貴重な動物です。
しかし、馬の寿命は25年以上あります。このような生き物を、誰が、どのように飼育していくのかを考えると、安直に「在来馬を残すべきだ」とは言い切れません。理念的な正しさをもって、休みなく馬を飼育する負担を、関わってしまった人々へ押し付けてはいけないからです。
それでも、もし地域の人々が在来馬を大切に思い、これからも馬とともにあり続けることを希望されるのならば、まず「人々にとって在来馬とはどのような存在なのか、彼らは馬をどのようにしたいと考えているのか」を知る必要があります。
在来馬は地域を反映する存在であることから、在来馬を保全するこということは、地域をどのように活かしていくかを考えることとも言えます。私たちは、在来馬を育んできた地域を理解することに努めながら、在来馬のどのように保全していったら良いかを、保全生物学的に考えています。
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「7.生物・バイオ」の「24.生態学」
一般的な傾向は?
●主な業種は→公務員、小動物臨床
●主な職種は→獣医臨床、家畜衛生、公衆衛生、研究職
分野はどう活かされる?
県の研究所など
獣医学というと「動物のお医者さん」になるための学びとイメージされるかもしれません。しかし、獣医学は微生物から環境までを担う広い分野です。広さを特徴とする獣医学には、医学、農学、生物学、環境学、工学といった様々な分野の「ことば」を理解し、融合させる面白さがあります。ここでは今後、社会でいっそう求められると考えられるコミュニケーションが大切なスキルとなります。
2020年度より、岐阜大学は東海国立大学機構のメンバーとなりました。これにより、いっそう様々な分野の専門家とともに協働できる土壌が整いました。
専門性を持つことはもちろんですが、広い視野が必要だと思います。様々な分野の方と接することで、新たな気づきや学びがあります。内向きになりすぎず、いろいろなことにチャレンジしてみてほしいと考えています。
ご自身の専門となる技術と知識を身につけてください。同時に、専門の外にある学びを経て、生物学的な事実がどのように社会問題となっているのかを考えてみてください。