会計学

粉飾決算をなくせ!会計情報の信頼性を守る監査研究


奥西康宏 先生

専修大学 商学部 会計学科/商学研究科 会計学専攻

どんなことを研究していますか?

会計監査とは、企業などの活動や財務の状況が大きな嘘を含むことなくちゃんと示されているかどうかを確かめて、報告することです。現在、大企業はその経済活動の結果や状態をまとめて、「財務諸表」として公開します。経営者や、株主、債権者、取引先、従業員、所轄官庁などの関係者が、その財務諸表を利用して自分たちの行動を決定しています。一方、彼らが、粉飾決算と呼ばれる嘘の情報でだまされ、お金や時間を失うこともあり、会計情報の信頼性を担保する仕組みの一つである監査は、現代社会において重要です。

だれもが会計情報を信頼して利用できるように

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私は会計監査論を専門にします。私が研究しているのは、「現代社会における会計監査の役割と限界」です。財務諸表に計上される項目数字は、すべてが確定しているわけではなく、「このぐらい」という見積りで表現される場合があります。例えば時価で動く金融商品などです。しかしその見積りが、経営者の意図的な変更や粉飾決算の後始末として行われる場合があります。そこで見積りと監査に関する事例研究を行っています。この研究が進めば、より有効な監査の実践のために役立ち、ひいては、粉飾決算を減らし、人々が会計情報を信頼して利用できるようになるでしょう。

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三浦半島のゼミ合宿、お互いの発表を聞いています

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→金融機関、最近は情報システム系の会社も増えています。数は少ないですが公認会計士試験合格者もいて監査法人で働いています。
  • ●主な職種は→一般企業では、総合職、監査法人では専門職
  • ●業務の特徴は→営業か経理
分野はどう活かされる?

公認会計士試験合格者であれば、監査法人に就職し、金融商品取引法監査等に関する業務を行っています。

先生から、ひとこと

会計学は、現在細分化・専門化が進んでいます。その結果、社会で必要とされる会計実務と会計研究の間にずれが生じています。ただ基本は一緒です。まずは、簿記や会計の基礎をしっかり学び、そこから次の展開が始まります。学ぶべき内容は多く、また一定量の問題演習が必要です。会計学を学ぶ人には、簿記検定を学習の目安にする人がいます。また公認会計士や税理士をめざす人がいます。

先生の学部・学科はどんなとこ

専修大学の会計教育は、大正4年(1916年)に専修大学専門部にわが国最初の計理科が設置された時にさかのぼります。その後、100年以上の長い時間が経ちましたが、現在でも、その伝統を引き継ぎ、多くの会計学の教員を抱え、研究や教育に力を入れています。そのような特徴から、全国から公認会計士や税理士を目指して入学する人たちも多いです。

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卒業式

先生の研究に挑戦しよう

会計処理の前提である簿記の学習に取り組んでください。また経済的な出来事や企業の動きに関心を持ってほしいです。

興味がわいたら~先生おすすめ本

会計士は見た!

前川修満

ビジネスを学ぶには、まずは世の中の動きを知ることから始まる。この本は、ソニー、日産、大塚家具など、決算書にまつわる実際の企業の実例を紹介しており、それらを通じて会計情報で何がわかるかを、あまり専門知識がなくても実感できる。 (文藝春秋)


監査法人

日本で実際に生じた粉飾決算と監査法人の対応の事例をベースにしたNHKドラマ。特に第1話は、現在社会における公認会計士の仕事の意味を考えさせる内容となっており見ごたえがある。全6回のドラマだが、DVD-BOX以外にNHKオンデマンドでも視聴が可能。 (NHK)


さおたけ屋はなぜ潰れないのか?

山田真哉

ワリカンで「キャッシュ・フロー」を学んだり、住宅街の高級フランス料理店の事例から「連結経営」を学んだりと、会計について知識のない人向けに書かれたもので、高校生に会計をイメージしてもらうものとしては、手軽に読める本。細かい財務諸表などが出てくるわけではないのに、なるほどと感じられる点が多いだろう。 (光文社新書)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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