良い商品を生み出して人々に喜んでもらえるビジネスは、どのように展開できるでしょうか。少し前まではプロの技術者や専門家しか、新商品を開発したり、新しいサービスを生み出すことはできませんでした。しかし最近、インターネットを用いて様々な情報に触れることができるようになり、ユーザー(商品の使い手)でも、欲しいものや必要なサービスを自ら考えて実現するということが可能になってきました。私はこのトレンドを、「ユーザー・イノベーション」という概念を用い、今まで存在しなかった新しいモノや仕組みを創造する仕組みとして研究を行っています。既に多くの企業が実践し、高い販売成果を挙げている事例も報告されています。
プロが思いもつかなかったアイデア!無印良品の消費者による商品開発
その先駆的な取り組みの例に、「無印良品」の行っている消費者参加型の商品開発クラウドソーシングという方法があります。これは、消費者自身が無印良品のインターネットサイトに欲しい商品のアイデアを投稿し、それをもとに無印良品が商品化するというものです。私の関心は、こうした一般ユーザーのアイデアを企業側がちゃんと理解できるのか、ユーザーのアイデアを商品化するためには具体的にどのような課題やその解決法があるのか、という問題にあります。実用化に至らないアイデアも多いですが、時に素人であるユーザーの発案した商品の方が、専門家が作るものよりも高い価値を生み出す事例もあり、面白い現象だと思います。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→流通業、サービス業
- ●主な職種は→営業担当
- ●業務の特徴は→会社が自信をもって扱っている商品やサービスの価値を、取引先やお客さんに伝えるための活動
分野はどう活かされる?
お客さんの立場から価値ある商品やサービスを提案することが重要となる業務ですので、日頃から社会の様々な情報を収集したり、人々の行動を観察したりすることが大事です。ゼミではそのための基礎知識を学び、実際の企画提案活動も行います。
マーケティングは、顧客をはじめとした「他の誰かと良い関係を築くための方法」です。企業はもちろん、現代社会で生きる我々すべてに関係する学問分野だと信じて、学生にも指導をしています。魅力的な新商品や心に残る広告、社会問題の解決に挑戦する活動などに興味がある方には、ぜひマーケティングの知識や考え方を身につけていただきたいと思います。
流通科学大学は3つの学部しか持たない中規模大学ですが、マーケティング論や流通論に関しては、国内で他に類を見ないほど充実した研究スタッフを擁しています。開講している科目についても、この分野において非常に詳細かつユニークなものがそろっており、また講義だけではなく、学んだ知識を実践的な知恵として展開できるための機会(学生による商品企画提案、地域振興活動の展開など)も豊富に設けている、実学重視の学びの場です。