アナと雪の女王
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー(ウォルト・ディズニー・ジャパン)
雪の力学挙動の表現は非常に難しいものの一つと言えます。時に固体のように、時に流体のように、時に粉体のようにふるまいます。この映画ではマテリアルポイントメソッドという計算手法が用いた数値シミュレーションの結果が使われていて、これによりリアルな雪の挙動を表現しています。
より詳しく知りたい人は『Disney's Frozen A Material Point Method For Snow Simulation』(https://www.youtube.com/watch?v=O0kyDKu8K-k)を視聴されると良いでしょう。計算力学の素晴らしさを感じることができます。
力学現象を可視化する「コンピュータシミュレーション」
力学に興味、機械工学科を選ぶ
もともと私は本を読むのは好きでしたが、理系科目が特別好きというわけではありませんでした。そんな私が理系を選択したきっかけは高校の物理です。
高校物理の最初に、重い物を投げると近くに落ちて、軽いものを投げると遠くまで飛ぶという力学の法則を学びます。生活実感を伴う現象が物理法則の数式で表わされることに驚きました。このような学問をもっと学びたいと思っていたところ、大学は機械工学科というところで力学を学ぶことができると知り、機械工学科を選びました。
いろいろな力学を学び、研究室へ
機械工学科では、質点の力学から発展させた、固体の力学、流体の力学など、様々な力学を学びます。大学3年間はどの科目もそこそこに勉強していましたが、研究室に一度配属されてからは覚悟を決めてしっかり専門の勉強を始めました。
私が大学4年生で配属された研究室は固体の力学をコンピュータシミュレーションを使って研究するという研究室でした。研究室での勉強を開始してまず好きになったのは、固体も流体も統一的に扱う「連続体力学」という学問です。
力学の数式をプログラムにする
また、力学で学んだ数式をコンピュータ上でプログラムとして書くと、その現象がコンピュータの中でアニメーションとして再現されます。次に好きになったのは、自分がプログラムを書くとその通りにコンピュータが動いてくれる「コンピュータシミュレーション」です。この「コンピュータシミュレーション」は「数値計算」とも呼ばれます。私が今専門にしているのは「計算力学」という分野です。
私は若いころ、自分が何者かわからず、何が好きで何が得意なのかわからず、いつも将来に対する漠然とした不安や焦りがありました。これを読んでくださっている皆さんの中には、若かったころの私と同様、自分が何をやりたいのかわからなくて苦しい人もいるかもしれません。
私が今の自分の研究分野に出会ったのも、たまたまだったと思います。色々な人生があり得ます。自分がチャンスだと思ったら勇気を出して飛び込んでいくこと、これと思ったときには覚悟を決めることが大事だと思います。
◆主な業種
(1) コンサルタント・学術系研究所
(2) ソフトウエア、情報システム開発
(3) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) システムエンジニア
(3) 技術系企画・調査、コンサルタント
慶應義塾大学機械工学科では、学部3年次に、高校物理で学ぶ質点の力学をさらに発展させた連続体力学という学問を学びます。これは固体や流体を統一的に記述するとても美しい理論です。また、この理論のベースとなるテンソル解析という演算手法を学部2年次に学びます。
このような基礎科目を学習したうえで学生たちは様々な分野の研究室に配属され、それぞれの分野での研究を開始します。どの分野で研究するとしても、19世紀から色あせないこの理論を学ぶことは大変重要です。最先端の研究の基礎には先人たちの開発したしっかりした土台があることを感じてください。
BUDS MONTAGE
舐達磨
突然バダサイが歌う「実力は努力の数」というリリックが凄く好きです.
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 決められませんが、構築されたシステムが高い次元で一般化されていると感じられる学問であるほどのめり込めると思います。 |
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Q2.感動した/印象に残っている映画は? TENET |
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Q3.好きな言葉は? 研究は努力と根性、人間関係は思いやりと協調性(私の昔のボスから教わりました。) |