地熱発電増産のための貯留層造成を支える革新的コンピュータシミュレーション
地下に熱水・蒸気を溜める貯留層を作り出し発電
日本の地下には世界3位の量の地熱エネルギーが存在しているため、地熱は日本にとって魅力的な国産の再生可能エネルギーであるといえます!
しかし、国の電力供給全体に占める地熱発電量の割合は1%を大きく下回っているのがこれまでの状況であり、この様な状況を改善すべく地熱発電の増産に向けた様々な技術が提案されてきています。
特に、地下深くの高温岩体に水を圧入し亀裂を発生させ、熱水・蒸気の溜まり場(地熱貯留層)を人工的に作り出す貯留層造成型の地熱発電は、実現すれば高いポテンシャルがあると考えられています。
エネルギー回収量は貯留層内の様々な現象に左右
ただし、実際に貯留層を造成するには多くの時間とコストが必要となるため、コンピュータを用いた数値シミュレーションにより、造成貯留層の性能(地熱エネルギーの回収量)を事前に正確に予測しておくことが極めて重要です。
地熱エネルギーの回収量は貯留層内で起きる様々な物理・化学現象(熱水・蒸気の流動、岩石変形、鉱物-水の反応など)の複合影響を受けます。また、これらの現象は、亀裂の開き具合や亀裂表面の凹凸などの、貯留層内の亀裂が持つミクロな形態に左右されます。
ですが、こういったミクロな形態まで再現できるシミュレーション技術は世界的にも開発されておらず、地熱エネルギーの回収量予測における現実との乖離は避けられません。
貯留層の状況をリアルにコンピュータ上で再現
私はこの様なシミュレーションと現実との乖離を縮め、高性能な地熱貯留層のより確実な造成を支援するための研究をしています。
具体的には、亀裂のミクロな形態に関係する岩石内の鉱物粒子分布などの情報まで取り入れることで、高温岩体中に造成される亀裂の全貌をミクロな形態も含めリアルにコンピュータ上で再現し、地熱エネルギー回収量を従来よりも飛躍的に高い精度で予測可能とする革新的な数値シミュレーションを実現したいと考えています。
◆主な業種
(1) 建設全般(土木・建築・都市)
(2) 鉄道
(3) コンサルタント・学術系研究所
◆主な職種
(1) 生産管理・施工管理
(2) 生産管理・施工管理
(3) 設計・開発
土はおしゃべり
地盤工学会関西支部
私の研究分野である地盤工学は、地盤の構成要素である土や岩石を対象とした学問です。この本は、土が持つ基本的な性質やその調査方法などについて、キャラクターやイラストを交えながら非常に優しく説明していますので、「地盤工学」に触れる入門書としては最適です。
土や石は皆さんのごく身近に存在しているにも関わらず、それらを取り扱う学問である「地盤工学」の認知度はそれほど高くない印象があります。”地盤”は、皆さんの生活を足元から支えている大事な基盤ですので、是非本書をきっかけに一人でも多くの人に”地盤”について知ってもらえれば嬉しいです。
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