AIが音響データを分析。音波を使った道路や鉄道の走行式検査装置
堅固なコンクリート内部をみたい
人々の暮らしを支える社会基盤構造物 (ex. 道路、鉄道、港湾・空港、電気、ガス、上下水道施設) を強く、長持ちさせようとしています。そのためには、目に見えないコンクリート内部のひび割れや空隙をいち早く見つけ出して、修理することが大切です。
鉄道分野では、ドクターイエローが走行しながら新幹線のレールや架線を検査しています。また医療や空港セキュリティの現場では、物体内部を可視化する非破壊検査技術が活用されています。しかし、これらの技術を組み合わせても、堅固なコンクリート内部を視ることはできません。
強力スピーカー搭載、音響をセンサで測定
私たちは、走りながら道路や鉄道の内部を検査できる装置と技術の開発に取り組んでいます。目に見えない異常を捉える方法として、音に着目しました。
音は空気中だけではなく、液体や固体中でも伝わります。空気中の音が壁で反射するように、コンクリート中の音はひび割れや空隙で反射します。開発中の走行式検査装置には強力スピーカーが搭載されており、道路や鉄道に直接音波を加えて、コンクリート内部の音響をセンサで測定します。
異常検知の精度を高める大量データ
この音響データをAIが特徴分析することにより、目に見えないひび割れや空隙を見つけ出します。走行式検査は、道路や鉄道から大量のデータを集めます。この大量データをAIの糧にして、異常検知の精度をさらに高めます。
私たちはロボットとAIを使って、人の目では見つけられない社会基盤構造物の異常を、高速かつ高精度に検査することを目指しています。持続可能な社会基盤整備は世界中で必要とされており、この研究成果は、豊かで平和な社会の実現に大きく貢献できると考えています。
中学・高校生の頃は音楽とビデオゲームに夢中でした。地学が得意科目だったので、大学では地震工学の研究室を選びました。プログラミングはゲームのように楽しく、橋の地震応答シミュレーションに没頭しました。
現在はAIによる音響分析に興味があり、音とAIを使ったコンクリート構造物の異常検知を研究しています。土木工学は英語でCivil Engineering (市民工学) と言います。人々の役に立つことだけを考えて、自分のアイディアを形にしていくスタイルに惹かれて、土木工学の研究者になりました。
◆主な業種
(1) 建設全般(土木・建築・都市)
(2) 鉄道
(3) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1) 製造・施工
(2) 保守・メインテナンス・維持管理、運用・システムアドミニストレータ・サービスエンジニア
(3) 生産管理・施工管理
◆学んだことはどう生きる?
研究室の卒業生の多くは建設業界に就職しています。鉄道会社、高速道路会社、電力会社、ゼネコン、建設コンサルタント、国や地方自治体の公務員として、社会インフラの建設、整備、維持管理の第一線で活躍しています。
学生時代の授業や卒業論文のテーマは、これらの仕事に直結するものです。卒業生は4年間 (大学院修士課程はさらに2年間) のカリキュラムを通じて、土木工学に関する高い専門知識と課題解決のスキルを身に付けています。
音を使った非破壊検査について
(1) 空気、ヘリウム、水、氷、コンクリート、鋼など、色々な気体、液体、固体中を伝わる音速を調べてみましょう。
(2) 音速を測る方法を調べてみましょう。さらに、卓上で音速を測れる方法を考えてみましょう。
(3) 上記の(2)の方法を使って、空気、水、氷、コンクリート、鋼の音速を測ってみましょう。
(4) 氷の中にき裂や空隙を与えると、音速はどのように変化するかを調べてみましょう。また、その理由を考えてみましょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 音響学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アメリカ。1年間留学していました。食べ物がおいしく、人々は親切で、研究に集中できる環境が整っています。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? ヘヴィメタルバンドでギターを弾いていました。 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? お客さんが来ない喫茶店 |
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Q5.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? Spotifyで新しい音楽を見つけるのが楽しいです。 |