流体工学

分子シミュレーション

ナノスケールの流れを可視化し、精密な分子設計を目指す


馬渕拓哉先生

東北大学 工学部 機械知能・航空工学科(工学研究科、流体科学研究所、学際科学フロンティア研究所)

出会いの一冊

水とはなにか―ミクロに見たそのふるまい

上平恒(講談社ブルーバックス)

生命現象、化学現象、地球の現象の基本的な要素である水。水は水素と酸素からなる単純な化合物ですが、実は常識を超えた多様な性質を持っています。水とは何か、「水」の不思議を科学的に記述した一冊です。

こんな研究で世界を変えよう!

ナノスケールの流れを可視化し、精密な分子設計を目指す

ナノ細孔を制御する

私たちの身の回りの技術が急速に進歩するなか、新たな医薬品や材料の開発にはナノスケール(1メートルの1億分の1)における精密な分子設計が不可欠です。

私たちは「ナノ細孔」の研究をしており、これは微細な世界における穴の中の流れを制御するものです。ナノ細孔を制御することで、特定の成分のみを取り出したり、反応を促進したりすることが可能になります。

新薬や材料開発の革新的な進展も

私たちの体を構成している細胞同士もナノ細孔を介して様々な情報や物質のやり取りを行っています。

このナノ細孔を人工的に設計・作製し、流れを制御できれば、病気の治療法や新薬の開発に革新的な進展をもたらす可能性があります。また、ナノ細孔の技術は環境への負荷を減らす工業的な応用も期待でき、液体の浄化や成分の分離などを効率的に行う材料開発にも役立ちます。

分子シミュレーションで挙動を予測

しかし、実験にもとづく研究の場合、限られた情報(観測)から、分子スケールで何が起こっているかを推測する必要があります。最新鋭の顕微鏡をもってしても、ナノ細孔を流れる分子を観察することはできません。

そこで私たちは、コンピューターを使って分子や原子などの微小な構造を仮想的に再現し、その挙動を予測する「分子シミュレーション」という技術を使って研究を行っています。

分子シミュレーションを通して、実験では難しい分子の世界を可視化しナノスケールの流れを理解することで、ナノ細孔の精密な分子設計を目指しています。

テーマや研究分野に出会ったきっかけ

学際科学フロンティア研究所では、日頃から文系・理系問わず専門分野が全く異なる研究者が集まり議論する環境が提供されています。自分の知らない分野の面白さに魅了されつつ、そこから刺激を受け既存の概念や常識に囚われない新しいアイデアや研究テーマが生まれています。私が現在行っているメインの研究テーマも生命科学分野の先生方々と出会ったことがきっかけで生まれた創発的なテーマで、当時は生物の知識がほとんど無い中で始まりました。

インターンシップのようす。分子シミュレーションに興味のある学部生や高専生を招いて、演習形式で分子シミュレーションの方法論や特徴を学ぶ機会を定期的に提供しています。
インターンシップのようす。分子シミュレーションに興味のある学部生や高専生を招いて、演習形式で分子シミュレーションの方法論や特徴を学ぶ機会を定期的に提供しています。
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「ナノ空間反応性イオン輸送制御システムの創出」

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中高生におすすめ

ChatGPTと学ぶPython入門 「Python×AI」で誰でも最速でプログラミングを習得できる!

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私たちは日々の研究でPythonなどのプログラミング言語を使っていますが、今やプログラミングやAIは使い方次第で日常生活でも役に立つことも少なくありません。生成AIが出力する情報を鵜呑みにせず、信憑性を吟味しつつ上手く活用してみてください。


そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?

深沢真太郎(日本実業出版社)

論理的思考とは、目的達成に向けて、抜け漏れなく、筋道を立てて手段を考えることです。プログラミングを学んで得た論理的思考力は、「こうすれば、こうなる」を考える力として物事を効率良く進められるなど日々の生活においても役立つと思います。


Dr.STONE

稲垣理一郎

科学的な知識+仮説→実行→検証という地道な日々の実験とものづくりの過程が楽しく描かれています。小学生の息子も夢中で見ています。

一問一答
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

アメリカ。高校生時代はアメリカに住んでいたので、第2の故郷のような場所です。

Q2.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

投資。アメリカでは資金を必要とする会社や団体を応援するという考えが根付いており、投資や寄付が身近です。(研究費も似てるかも)


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