ナノスケールの流れを可視化し、精密な分子設計を目指す
ナノ細孔を制御する
私たちの身の回りの技術が急速に進歩するなか、新たな医薬品や材料の開発にはナノスケール(1メートルの1億分の1)における精密な分子設計が不可欠です。
私たちは「ナノ細孔」の研究をしており、これは微細な世界における穴の中の流れを制御するものです。ナノ細孔を制御することで、特定の成分のみを取り出したり、反応を促進したりすることが可能になります。
新薬や材料開発の革新的な進展も
私たちの体を構成している細胞同士もナノ細孔を介して様々な情報や物質のやり取りを行っています。
このナノ細孔を人工的に設計・作製し、流れを制御できれば、病気の治療法や新薬の開発に革新的な進展をもたらす可能性があります。また、ナノ細孔の技術は環境への負荷を減らす工業的な応用も期待でき、液体の浄化や成分の分離などを効率的に行う材料開発にも役立ちます。
分子シミュレーションで挙動を予測
しかし、実験にもとづく研究の場合、限られた情報(観測)から、分子スケールで何が起こっているかを推測する必要があります。最新鋭の顕微鏡をもってしても、ナノ細孔を流れる分子を観察することはできません。
そこで私たちは、コンピューターを使って分子や原子などの微小な構造を仮想的に再現し、その挙動を予測する「分子シミュレーション」という技術を使って研究を行っています。
分子シミュレーションを通して、実験では難しい分子の世界を可視化しナノスケールの流れを理解することで、ナノ細孔の精密な分子設計を目指しています。
学際科学フロンティア研究所では、日頃から文系・理系問わず専門分野が全く異なる研究者が集まり議論する環境が提供されています。自分の知らない分野の面白さに魅了されつつ、そこから刺激を受け既存の概念や常識に囚われない新しいアイデアや研究テーマが生まれています。私が現在行っているメインの研究テーマも生命科学分野の先生方々と出会ったことがきっかけで生まれた創発的なテーマで、当時は生物の知識がほとんど無い中で始まりました。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アメリカ。高校生時代はアメリカに住んでいたので、第2の故郷のような場所です。 |
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Q2.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 投資。アメリカでは資金を必要とする会社や団体を応援するという考えが根付いており、投資や寄付が身近です。(研究費も似てるかも) |