こするだけで光る色が変わる!新しい有機分子を発見
再入場スタンプに使われる有機分子の発光現象
私は、新しい「有機分子」を生み出すことのできる有機合成化学の研究をしています。有機分子は、その構造に応じた機能を持っていて、医薬品や香料、色素、太陽電池など、様々なところで利用されています。
私の研究では、有機分子の発光機能に着目しています。発光現象というのは、外部から与えられたエネルギーを光として放出する現象です。身近なところでは、テーマパークなどで、特殊な光(ブラックライト)を当てると発光する再入場スタンプを押してもらったことがある人も多いかと思います。
有機分子は、希釈状態では効率良く発光するものでも、結晶状態では発光しなくなることが多いのが長年の課題でしたが、最近は結晶状態でも発光する有機分子の研究が世界中で活発に行われています。
光る結晶を圧力を検知するセンサーへ応用
私が発光する有機分子の研究を始めたのは、偶然の発見(セレンディピティ)がきっかけでした。当初は別の目的で新しい有機分子を合成する研究を行っていたのですが、その途中で作り出した中間体の分子が結晶状態で効率良く発光することが予期せずして見つかりました。
そこで、似たような構造の有機分子を順番に作って結晶化したところ、さらに面白いことに、薬さじでこするだけで発光の色が変わり、こするのを止めると元の発光色に戻る結晶を見つけました。現在は、こする前後の発光色を自在に制御するための理論的な研究と、圧力を検知するセンサーなどへの応用に向けた研究に取り組んでいます。
高校時代に、野依良治先生が、K. B. Sharpless先生、W. S. Knowles先生とともに「不斉触媒による水素化反応の研究(右手型・左手型の有機分子を作り分ける研究)」でノーベル化学賞を受賞したことが、有機化学に興味を持つきっかけになりました。
◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(2) 薬剤・医薬品
(3) その他の化学系
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 化学。今の知識を持ったまま、もう一度より広く深く学んでみたいです。 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? 最初はサークルに入ろうともしたのですが、化学の方が楽しかったので結局入りませんでした。 |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 授業。研究も好きですが、授業をしたかったので大学教員になることを選びました。学生からの思わぬ質問や意見で学ぶことも多く、楽しく思います。 |
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Q4.好きな言葉は? 今を頑張れない人は、未来が今になった時も頑張れない。 |