触覚センサの開発を通じて、まだ謎の多い触覚を理解する
機械で現実に近い触感を伝えるには
学生時代、私は半導体加工技術を駆使して、人間の触覚に情報を提供するための装置を開発していました。特に、小型機械を高密度に配置することで、より現実に近い触感を人間に伝えることを目指していました。
研究を推進する中で、偶然にも同じ飛行機に乗っていた同年代の研究者と出会い、彼が皮膚や神経を計算で再現するような研究を行っていたことを知りました。彼との対話を通じて、触覚情報をより良く人間に提供するためには、機械を作るだけでなく、人間の内面についても理解していくことが必要であるとの考えに至りました。
ロボットや神経科学の知見も取り込む
大学に勤務し自由に研究を進める機会を得てからは、機械の製造や数値計算を駆使し人間の触覚について理解を深めることを目標にしています。
例えば、0.1 mmの細い神経に似た柔軟な触覚情報を記録するためのセンサの開発や、数値計算を用いて神経の活動をシミュレーションするような研究を進めています。この研究テーマは広範であり、私単独では理解できないことが多くあります。そのため、ロボットや神経科学に詳しい研究者との議論を通じて研究を進めています。
触覚は身近な感覚でありながら、未知の領域が多く、なかなか研究が進まないものですが、私は30年後くらいに大発見ができるように、日々精進しています。
最初はマイクロ流体デバイス内で細胞を培養するような研究をしたいと考えていました。しかし、予算の都合で触覚に関する研究にアサインされてしまい、更にはイタリア人交換留学生と研究を始めることになったのが全ての始まりです。
やっていくうちに今までの技術を上手く活用できたり、新しいことがわかったりということがあり楽しくなって現在に至ります。これはよくある話ですが、やってみると楽しいことはたくさんあるので若い間に色々トライしてみて下さい。
◆主な業種
(1) 半導体・電子部品・デバイス
(2) その他の機械・機器
(3) コンピュータ、情報通信機器
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 設計・開発
(3) 製造・施工
◆学んだことはどう生きる?
大体の学生は機械や電気系の会社で働いており、就職には困ることはありません。これまでにコンピュータシミュレーションが得意な学生が2名ほどいて、それが活かせる会社に行っています。学生のうちに身につけたスキルが就職に直結することもありますので、研究室選びの際には参考にしてみて下さい。
現在在籍している大阪大学の基礎工学部は2年生から機械、知能システム、生物の3つのコースに分かれるという特徴があります。大学に入ってから実際に研究室や先生を見てから自分のやりたいことができるコースを選ぶことができます。また、学生に対する教員の数も多いので、教員から密な指導を受けることができます。各分野の著名な先生が多数在籍しており、研究するにはもってこいの環境です。私も入学したかったです(笑)
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 機械設計に必要なので、電子工学と情報科学を学びたいです。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 年中同じくらいの気温でテンションが維持できそうなのでシンガポールが良いです。 |
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Q3.感動した/印象に残っている映画は? 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ、機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- ガンダムが好きです!! |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 研究者で集まってマジックザギャザリングの統率者戦をやることです。 |
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Q5.好きな言葉は? 起死回生。ピンチはチャンスに変わるのであきらめずに粘り強く頑張りましょう。道は開けます。 |