データ分析の力 因果関係に迫る思考法
伊藤公一朗(光文社新書)
情報技術の進歩などの影響で、最近は社会科学の分野でも、因果関係について、信頼性の高い研究が行われるようになってきました。社会科学の分野で明らかになる因果関係の議論は、より効果的で効率的な政策の立案に影響を与えるようになってきていますし、今後は社会の多くの場面で登場しそうです。
この本は、因果関係を調べるとするならばどのような考え方をする必要があるのか、そのためにはどのようなデータ分析を行うのかについて、簡潔に教えてくれます。
因果関係を調べるうえで大切なのは、情報をどのように解釈・批判するのかですから、データ分析をしないとしても考え方が役に立つ場面は少なくなさそうです。ですからこの本を読むことで、例えば、テレビで見る「Aということが起きたらBという結果になる」という主張に対し、他の可能性を考えることができるようになります。
政府は予算を適切に使ってる? データ収集に衛星画像やAIを活用
世界の貧困や紛争の問題を解決したい
私は、世界の貧困や紛争の問題を解決したいと思い、様々な角度から様々なテーマの研究を行っています。
最近、主に取り組んでいるのは、政府の予算配分は、限られた人たちにとって都合のよいものになっていないだろうか?それは、どれくらい社会にとって負担なのだろうか?という問題です。
政治家の依怙贔屓をなくすには
おそらく世界のほぼ全ての国で、政治家が限られた人々を優遇するという噂話は存在するでしょう。また、そのような事実があるという研究も最近よく報告されるようになってきました。
しかし、政治家が依怙贔屓をする問題を解決するためには、まだまだ研究は不足していますし、その依怙贔屓がどれくらい社会にとって非効率(悪いこと)なのかという問題については、まさにこれから研究を進めなければならない状況です。
統計調査がなければ、ITで収集
研究をするためにはデータが必要になりますが、そのようなデータは滅多にありません。さらに悪いことに、政治的な問題がより深刻な発展途上国では先進国のような統計調査さえ十分に行われていません。
しかし、最近では、コンピュータの性能の向上が著しく、これまでにない方法でデータを収集することが可能になりました。これを利用することで、データの問題を解決できるかもしれません。
予算配分の影響評価が次の目標
私は、現在(2023年11月)、行政データと衛星画像と機械学習を組み合わせることで、問題を検証するために必要なデータを構築することができそうだ、というところまで研究を進めることができています。
次の目標は、政府予算はどのように配分がなされているのか、それは社会にどのような影響をもたらしているのか、より効率的な配分がなされたらどの程度社会は今より良くなっていただろうかということを調べることです。
大学は理系の学部だったのですが、途上国の貧困や紛争の問題を解決するような仕事をしたいと思い、大学院進学に際して専門分野を変更することにしました。
貧困や紛争の問題を解決するためには教育が重要であろうと根拠のない確信があったのですが、そのためにはお金を引っ張ってこられるような学問が良いのではないかと思い、途上国を対象とする経済学(開発経済学)を選択しました。根拠のない選択でしたが、正解だったように思います。
◆主な業種
(1) 金融・保険・証券・ファイナンシャル
(2) コンサルタント・学術系研究所
(3) その他
◆主な職種
(1) 経理・会計・財務、金融・ファイナンス、その他会計・税務・金融系専門職
(2) 技術系企画・調査、コンサルタント
(3) その他
◆学んだことはどう生きる?
私の教育目標は、指導する学生が統計的因果推論の考え方をみにつけ、それを社会で応用できるようになることです。
卒論や修論のテーマはある程度は自由に選択してもらいますが、データ分析についてはしっかりと取り組んでもらいます。また、社会貢献の一環として、社会・経済データのパネルデータ構築および公開などもしています。そのためか、データ分析を必要とするような職種への就職が多いように思います。
私が所属する筑波大学の「社会工学」は、社会経済システム、経営工学、都市計画の3分野で構成されています。「社会工学」の特色は、学際的・国際的な観点から社会課題を把握・特定し、解決策を提示する方法論を学べることです。各分野の専門知識を深めるだけでなく、それらを活かしたデータ解析力や社会実装力を身につけることができます。
花の慶次 雲のかなたに
隆慶一郎、原哲夫、麻生未央
“自分らしくあること。負けないこと”
一度しかない人生ですから自分らしくありたいものです。そのために大切なのは「負けないこと」ではないかと思っています。
私が一番負けそうになるのは、困難に直面したときです。この漫画は、困難に立ち向かうときの心の姿勢(勇気)とはどのようなものかについて様々な状況と名言で教えてくれます。
私が中学生のころから愛読しており、好きな言葉はたくさんあります。最近は「これより我ら修羅に入る!!仏と会えば仏を斬り!!鬼と会えば鬼を斬る!!」というセリフを、プレゼンテーションに臨む際の心構えとして学生に勧めています。こちらも私の研究室の必修図書です。
安住紳一郎の日曜天国
TBSラジオ
“最もリターンの高い投資”
勉強は投資です。最もリターンの高い勉強はプレゼンテーションスキルに関するものだと思います。
ラジオにはプレゼンテーションスキルを高めてくれる教材がたくさんあります。この番組は最高の教材の一つです。YouTubeで過去の放送を聴くことができ、いつも更新を楽しみにしています。
私は、博士課程のある時期までプレゼンテーションがあまり得意ではありませんでした。落語・漢詩などさまざまな教材で勉強し、結局、ラジオが最も役立つ教材だと気付きました。この発見がなければ研究者には成れなかったように思います。
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Q1.一番聴いている音楽アーティストは? THE YELLOW MONKEY |
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Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは? MOTHER2、クロノ・トリガー、三國志シリーズ |
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Q3.好きな言葉は? 「何のため」。自分の行動、考え、目的を問い直すためのキーワードです。 |