体内の物質移動をラジオアイソトープで分析、医療へ貢献
新しい14C分析法を開発、高感度でより迅速に
レーザー光を使って、ラジオアイソトープ(RI)を分光・分析する手法の研究を行っています。
生体は酸素・炭素・水素・窒素を主成分として構成されていますが、生体内での物質の移動が解明できれば、効果が高く副作用の少ない薬を迅速に開発することや、個々の特性に適した医療を行うための診断を行うことに繋がります。
例えば、放射性炭素同位体(14C)は炭素の同位体のうちで唯一、長い半減期(5730年)を持ったRIであり、物質の移動を追いかけて測定する指標として有用です。
私の研究では、レーザー光と光共振器を組み合わせた新しい14C分析法の開発を進めています。これにより、従来法では実現することが困難であった高感度かつ迅速な14C分析が実現できます。
炭素循環解明や年代測定に期待
この手法は、環境中にわずかに存在する14Cを用いた大気中炭素循環解明や考古遺物に含まれる14Cの分析による年代測定法、他のRI分析への適用など幅広い分野への応用が期待されています。
この他にも、レーザー光によって元素や核種を選択してイオン化する手法を個別化医療にむけたRIの分析や分光に利用する研究も行っています。
上手に利用すれば大きな恩恵をもたらすRI
RIは正しく恐れて上手に利用することで、今よりももっと大きな恩恵が社会にもたらされると考えています。さらにこの研究を進めることで、ごく僅かなRIの超高感度分析法と放射線計測などの他の測定原理を融合した革新的な手法が実現できると期待しています。
→先生のフィールド[量子生体]令和元年度採択問題ではこんな研究テーマも動いている!◆テーマとこう出会った
大学院修士課程では、プラズマ理工学に関する研究グループに所属していましたが、そこで先輩がレーザー冷却の研究をしており、レーザー光によるアイソトープの制御(励起・イオン化)とそれによる分光・分析に興味を抱くようになりました。
当時所属していた専攻に新しい放射線検出法の開発やレーザーを用いた研究を行っていた研究室があったので、博士課程になる際に移籍し、新しい研究テーマ(レーザーによる新しいアイソトープ・放射線の測定法の開発)を立ち上げて研究を始めました。
◆高校時代は
科学部に所属しており、博士の学位を持つ顧問の先生から、大学での高校生向け夏期講習などを通じて、科学を学ぶことの楽しさを教えていただきました。
高橋浩之
東京大学 工学系研究科 原子力国際専攻、バイオエンジニアリング専攻/総合研究機構
【放射線計測、医用診断・医学物理、量子物理・イメージング】放射線やRIの利用に関して先進的な手法を常に取り入れた研究をしています。また、従来の学問分野にとらわれない分野横断的な研究活動を促すような学会活動等をされており、自身の研究を進める上で非常にエンカレッジされました。
◆アイソトープとの出会いから現在の研究について(インタビュー)(公益社団法人日本アイソトープ協会)
未来の社会を健全かつ持続的に発展させていくことをエネルギーの面で強靱に支えることを目指し、エネルギーを「創る」、「貯める」、「送る」、「効果的に応用・活用する」ための研究と教育を行っています。原子核・原子・分子から大気循環などのような、ナノ~マクロスケールに至る幅広い分野の個性的な研究を行っているグループが集まっており、幅広い分野に触れることができます。
NHKスペシャル 映像の世紀
(NHKエンタープライズ)
高校時代にテレビで視聴し、動画撮影・配信技術の発明・技術革新が与えた強い影響力(正負両面)を実感しました。科学だけでなく、歴史・文化を学ぶことの重要性を実感するきっかけにもなりました。
Teenager Forever
King Gnu
曲はいうまでもなく、悩みや将来に対する不安が多い高校生にストレートに届く歌詞が何より魅力的です。高校生だけに向けたものではないものの、自分が高校時代に聞きたかったと感じ、選びました。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 工学。といっても、既に学問に境界がなくなってきているので、工学を中心に+α。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? ドイツ。博士課程の時から何度か長期・短期滞在した思い出の地で、現地の先生と研究やプライベートで今も交流が続いているため。 |
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Q3.熱中したゲームは? 『ファイナル・ファンタジー』シリーズ。シリーズでの共通点を維持しつつ、ゲームシステムを毎回大きく変更する新しさが面白く、熱中しました。 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 学会誌に掲載する原稿を校正するアルバイト。大学教員になってから学生の卒業論文などのチェックに役立っています。 |
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Q5.研究以外で楽しいことは? 子供の成長をみること |