避けられない対立、どのように和解するかが大切
もめた後にきずなが深まるのはなぜか
小学1年生の時、あまり仲の良くなかったMちゃんと喧嘩をしました。「もう二度と遊ばない!」と心に誓い、泣きながら家に帰ったことを今でも鮮明に覚えています。大喧嘩をしたにもかかわらず、Mちゃんとはその後、大親友になりました。それまではあまり親しくなかった相手と喧嘩をしたら、喧嘩の前よりも親しくなっていたのです。
日本人は、他者とのもめごとを避け、穏便な関係性を好む傾向にあると言われます。もちろん、我慢せずにもめごとのない生活ができるのであれば、それに越したことはありません。一方で、社会の中で生きる以上、他者や社会との間に葛藤や摩擦が生じるのは当然のことです。
そもそも、他者との間に対立や摩擦が生じることは悪いことなのでしょうか。他者との争いに負の要素しかないのであれば、なぜ「喧嘩やもめごとを経てよりきずなが深まる」という現象が生じるのでしょうか。
自分以外のものとの対立、「コンフリクト」
「コンフリクト」という言葉を知っていますか。コンフリクトは、自分および自分以外のものとの対立、葛藤、摩擦、紛争等を表す言葉で、これらすべての意味を含む概念でもあり、個人内の小さなものから、国と国との対立などの大きなものまで、様々なレベルで生じます。
今、世界各地で分断をめぐる問題が起こり、分断は新たなコンフリクトを生み出しています。さらにこのことは、具体的な社会問題となって私たちの目の前に現れます。格差、貧困、虐待、差別など、日本を含む世界中に、様々な問題があります。
これまでは、個々の社会問題を別の性質のものと捉えて、解決方法を模索してきました。その結果、多くの社会問題は解決するどころか深刻さの度合いを深めています。なぜこれらの社会問題は、時代が進み、文明が発達してもなお発生し続けるのでしょうか。
コンフリクトを避けず、合意形成を考える
この問いへの答えを見出すためには、社会問題の根底に目を向ける必要があります。私は、あらゆる社会問題の根源は、分断とそれを象徴するコンフリクトであると考え、研究を進めています。大切なことは、コンフリクトを避けるのではなく、どのように合意形成するかを考えることなのです。
「施設コンフリクトの全国悉皆調査による実態経年比較分析とマネジメント手法の構築」