教育制度はどうやって決まったのか、政策決定に迫る
教育行政にまつわる5W1Hを明らかに
皆さん、「いつ」「どこで」「誰が」「誰と」「何をした」ゲームを知っていますか。「問い」に対する自分なりの答えを紙に書き、その後ランダムに選んで短文を作るゲームです。
教育学の中でも、教育行政学を専門とする私は、教育政策にまつわる5W1H(When、Where、Who、What、Why、How)を明らかにしていく研究をしています。
政策決定の真相に迫る「探偵」
研究の過程では、存在していたにもかかわらず何らかの理由によって所在不明となり歴史の闇に葬られてしまった資料を、国内外に飛び回って収集・整理したり、物事の決定に携わった関係者(文部科学省・教育団体・マスコミ関係者など)に対して何回、何十時間にもわたるインタビューを行うことで、私たちにとってもはや「当たり前」となってしまった教育制度の「なぜ」の糸口を探ります。
大袈裟に言えば、ブラックボックス化した政策決定の真相に迫ろうとする「探偵」のような日々です。今は2009年から2012年の民主党政権下の教育政策の検証を行っています。
望ましい制度をデザインしていく
教育学と聞くと、子どもに対してどのような教え方が効果的かというイメージがあるかもしれませんが、私の専門では、どのようなシステムを構築することで多様な教育を実現していくことができるのか、学校や教育委員会が直面する課題に対して、いろいろな立場の考え方(子ども、保護者、教員、地域住民など)を踏まえながら、望ましい制度のあり方をデザインしていくことに強い関心を持っています。
すべての人間にとって、教育を受ける機会を平等に公正に提供していくためには、どのような仕組みが必要にして十分なのか、そのヒントを考えるためには、まずは過去の政策が誰によってどのような問題意識の下で決定されたのか、そして、その政策は、誰にとってのどのような問題にどのような影響を与えたのかを検証していくことが、まずもって必要になります。未来の制度をデザインするためには、過去・現在の「教育政策」のメカニズムを分析することが必要不可欠になります。
「民主党政権下の政治主導改革が「普遍主義」に基づく教育政策に与えた影響に関する研究」