グローバル化が教育をどう変えるのか、世界の事例から読み解く
国や地域によって、学校の姿も教育方法も様々
皆さんが旅行に出かけた際、田舎の学校や都会の学校を見て驚いたことはないでしょうか。海外へ行ったことがある人は、「これが学校なのか」、「ひょっとしてこれ全部塾なのか」と、不思議に思った経験があるかもしれません。
同じ人間であっても、地域や国によって人のあり方に関する考え方やふるまいは少なからず違っています。これは教育についても例外ではありませんが、今やグローバル化の波は教育を貿易の対象とみなすようになっています。
グローバル化は教育に何をもたらすか
教育のグローバル化は、今まで私たちが当たり前のように経験してきた教育について再考し、変化をもたらす契機となるのは間違いありません。教育の改革はOECDのような国際協議機関から大きく影響されるようになっていますが、グローバル化の結果が教育にどのような変化をもたらすのかは誰にもわからないのです。
各国の地域統計を集め、比較分析
だからこそ、世界の教育がどこに向かっているのか、どのように統治されようとしているのかを予測しなければなりません。そして異なった方法で作成された各国の地域統計を丁寧に収集、加工し、国と地域からなる多水準の実証的な比較分析を行う意義があるのです。
いかなる国の牧歌的な田舎の学校や都会の雑踏にある塾にも、幸せな過去や悲しい過去があります。様々な過去に思いを馳せることで、無数の未来の姿を描き出すためのヒントとなる、今の姿が見えてくるのではないかと考えています。
「人間らしさ」は地域や国によって異なり、仕事や働き方と無関係ではありません。これと経済成長とどうバランスを取るかは、生産性の高低に関わってきます。そのバランスを診断するための観点を提出できると考えています。
教育は、住まいや学校、インターネットなどインフラ構築と密接な関係があります。「人間らしさ」を経済成長や生産性とバランスさせる包括的な制度設計を検討する上で、グローバル化する国際社会における日本の教育の布置を解明することは、重要な結節点をなしています。
「グローバリズムにおける教育のサービス分野への転換過程に関する比較ガバナンス分析」