子どもは学ぶ意欲に溢れている。意欲をそがない評価を
マンガ好きでも「義務」になれば嫌いに
数学者の森毅さんは次のような言葉を残しています。「どんなにマンガが好きな子どもでも、『毎週ごとに3冊マンガを読むことを義務づけ、週末にレポートを課し、学期末にテストをして内申書に点数をつけること』にすれば、マンガ嫌いになってしまうにちがいない」。
一般的に、教育における評価は「査定する教師」と「査定される子ども」という権威関係によって成立します。では、何を基に評価するのかというと、客観的に成果を点数化できる指標が用いられます。
しあさっての次は「ごあさって」
しかし、子どもの学びのオモシロさは、点数からは見えてきません。5歳の子どもが発した次のような言葉を、皆さんはどのように感じますか。「あしたが水曜日で、あさってが木曜日。しあさってが金曜日だから、土曜日は、ごあさってやな」。
しあさっての「し」を「四」と誤解して、「ごあさって」という言葉が存在すると想像したわけです。「言葉を知っているかどうか」という成果で測ると、0点ですね。でも、数字の並びから想像を膨らませて、大人にはない発想で思考したという観点で見ると、素晴らしい学びだと思います。
「査定」ではなく「評価」へ
多声的保育評価の開発では、子どもの声を受け取り、教師が一方向的に行う「査定」ではなく、子どもの次の学びにつなげるための「評価(アセスメント)」のシステムを検討します。子どもは本来学ぶ意欲に溢れています。未来の子どもが豊かに遊び・学びを進められ、かつ保育者がやりたくなる評価の開発を目指しています。
評価によって幼児期や学童期に学びの意欲が失われてしまう場合において、評価観を変えることで、生涯を通じて自ら学び続ける意欲を持てるような社会づくりに貢献できることを期待します。一人ひとりの学び方の個性が認められ、活かされるような評価の方法を提案することを考えたいと思います。
「多声的保育評価の開発:子どもと保護者の声を評価に導入する方法の提案」
川田学
北海道大学 教育学部 教育学科 教育心理学分野/教育学院 教育学専攻
子どもの発達と保育を繋げる研究をしています。専門分野への知識が深く、新しい視点を提供してくれます。
赤木和重
神戸大学 発達科学部 人間形成学科/人間発達環境学研究科 人間発達専攻
自閉症の子どもの学びや授業開発などを研究しています。ユニークな視点から、一般的なアプローチとは異なる自閉症の学びを追求しています。
◆主な職種
(1) 幼稚園教員、保育士等
(2) 大学等研究機関所属の教員・研究者
◆学んだことはどう生きる?
卒業生の多くが、保育所や幼稚園など、就学前施設で保育者をしています。子どもの発達や遊びを読み取り、日々の保育に活かしています。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? スポーツ科学。スポーツ全般が好きで、組織論に関心があるので。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? Mr. Children。学生の頃に流行し、思い出の曲がたくさんあります。特に『くるみ』。曲が作られた背景を知って、単純なラブソングではないことに凄さを感じました。 |
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Q3.研究以外で楽しいことは? 息子たちの野球の練習に同行すること。自分も野球を楽しんでいます。 |
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Q4.会ってみたい有名人は? 松本人志さん |