「自分には向いてない」という考えを変える教育を
才能やセンスより、やり方が重要
皆さんは、「自分は〇〇に向いていない」「自分には〇〇のセンスがない」といったことを感じたことはありませんか(〇〇には、勉強、運動、芸術といったいろいろな言葉が入ると思います)。実は、私自身も小学生の頃、絵を描くのが大変苦手で、「自分は美術には向いていない」と考えていました。
人が何かを上手に行うには、もちろん才能・センスも重要ですが、むしろその取り組み方こそが重要であるということが、これまでの心理学の研究で明らかにされてきています。
例えば記憶の実験では、もちろん元々の記憶力の良さといった個人差はあるものの、覚え方を変えることで記憶成績が向上することが明らかにされているのです。
覚え方の工夫で、よりよく記憶することができる
私は、「自分は〇〇に向いていない」という考えを変えるための教育のあり方を研究しています。具体的な取り組みとして、大学で地域の子どもたちを対象とした学習講座を開催し、教育プログラムの効果を検証したりもしています。
その講座では、上手な覚え方を伝えた上で、漢字や算数などの題材をもとにその覚え方を使ってトレーニングを行い、「覚え方を工夫すれば、よりよく記憶することができる」という考え方が重要であることを実感してもらいます。
教育の研究というと、皆さんはどのような研究が行われているか、イメージを持ちづらいかもしれませんが、現実の問題を解決し、社会に貢献することを目指す、ワクワクするような研究がたくさん行われています。教育をより良くしたいと志す皆さんと、ともに研究を行えることを楽しみにしています。
「認知的スキルと社会情動的スキルの統合的介入方策の開発と評価」