平等に価値をおき、発展するフィンランドの教育
フィンランドの教育関係者にインタビュー
大学院生だった頃、たまたま読んだ論文がきっかけで、フィンランドの教育に関する研究を始めました。以降、20余年に渡って、たくさんのフィンランドの教育関係者の方にお会いし、インタビューを行ってきました。
それらにおいて共通していたのは、「平等」に価値を置く教育観。この平等に対する絶対的な信頼はどのようにして生まれたのだろうか…そう考えたことが、現在取り組んでいる研究を着想したきっかけです。
フィンランドの謎に迫るのは今しかない
インタビューの際に特に印象的な言葉を残してくださった方々は、フィンランドの教育が平等を志向して発展するプロセスを体感的に知っている世代でした。その方たちが次々に退職の時期を迎えられたことで、「フィンランドの謎」に迫るのは今しかないと考え、現在のプロジェクトに着手しました。
平等は一朝一夕にならず
プロジェクトでは、教育政策の分析と教育関係者へのインタビューを行っていますが、特に面白いと感じているのは、インタビューを通じて伺う、教育関係者自身の教育経験にまつわるお話です。
一学習者としての学校や大学などでの思い出、教育関係の職に就いてから携わった仕事など、公私に渡る教育的経験に基づいて紡ぎ出されるそれぞれの物語は、平等は一朝一夕にしてならず、ということを実感させられるものです。
まだまだ研究は途上で、新型コロナウイルスの感染拡大により、今まさに実施上の困難に直面しているところですが、何とかやり遂げたいと思っています。
フィンランドの教育における平等観の実相を明らかにすることを通じて、目標4のターゲットのひとつ、「2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする」ことに貢献できればと思いながら、研究に取り組んでいます。
◆先生が心がけていることは?
女子大学に勤務する中で、学生たちの無限の力を日々感じています。ともに学び、成長していくこと、それを通じて、次代を担う人材を育成していくことが、ジェンダー・エンパワメントにつながると信じています。
「ライフヒストリーで辿るフィンランド教育の源泉-「教育における平等」概念の実相-」
二宮皓
愛知みずほ短期大学 現代幼児教育学科
【比較国際教育学、高等教育の国際化】教育文化の中から「面白さ」を見つける眼力とユニークな発想、子どもたちの中に自然に入っていくコミュニケーション力の高さを尊敬しています。
澤野由紀子
聖心女子大学 現代教養学部 教育学科/文学研究科 人間科学専攻
【比較教育学、生涯学習論】ヨーロッパの生涯学習を専門としつつ、幅広い地域・テーマをカバーすることのできる俯瞰力・視野の広さを尊敬しています。
林寛平
信州大学 教育学部 学校教育教員養成課程/教育学研究科 高度教職実践専攻
【比較教育学、教育行政学】北欧に軸足を置きながらも、それだけにとどまらず、世界の学校事情について語ることができる知識の豊かさ、研究的でありながら、現場マインドを持っているところを尊敬しています。
◆人生と学び#18-日常の中にある将来の種(津田塾大学ウェブマガジンPlum Garden)
◆主な業種
(1)中学校、高等学校の教員
(2)官庁、自治体、公的法人、国際機関等
日本で初めての国際関係学を専門とする学科として1969年に設置されたのが、津田塾大学学芸学部国際関係学科です。その学際性ゆえ、学生の関心は様々です。教育=教育学部と思われがちですが、国際関係学科にも教育を卒論のテーマとして扱う学生がいます。国際的視点、あるいは地域研究的視点のもと、対象とする国や地域の歴史的・社会的・文化的・経済的背景との関係性の中で、教育という事象にアプローチしています。
Q1.一番聴いている音楽アーティストは? 80年代のエピック・ソニーレーベルのアーティストの作品。中高生の頃は、流行りモノのわかる大人になりたいと思っていましたが、実際になったのは、その当時聴いていた曲やアーティストの作品を今なお聴き続けている大人でした…。それほどまでに、十代の頃培った感性の影響力は絶大なのだと思います。なかでも、好きな曲は、国際青年年のテーマ曲であった佐野元春さんの『Young Bloods』です。「鋼のようなWisdom 輝き続けるFreedom」というフレーズに、未来への夢や希望のようなものを感じていました。 |
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Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『さらば、わが愛 覇王別姫』はアジア、とりわけ中華圏の文化に関心を寄せていた大学時代に観て、衝撃を受けた人生のベスト映画です。主役を演じたレスリー・チャンのその後の運命と重なるようなストーリーが、この作品を忘れ難いものにしています。 そして、子どもの可能性と人間の本質を考えさせてくれる宮崎駿監督の作品は、どれも印象に残っています。中でも『となりのトトロ』は、フィンランドの学校でも大人気ということもあり、思い出の多い作品です。「子どもの想像力を育むことにおいて最適の教材」とは、現地の学校の先生の弁です。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 水泳部で、専門はバタフライ。試合に出たりもしていました。 |
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Q4.研究以外で楽しいことは? フィンランドのヴィンテージ食器収集。美しいデザインもさることながら、当時の人々の暮らしを垣間見ることができるのが魅力です。また、趣味と実益を兼ねて、古い教科書の収集もしています。 |
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Q5.会ってみたい有名人は? フィンランドのサンナ・マリン首相です。フィンランドの教育における平等観というテーマを追っている今、できることならば、それを体現するようなマリン首相にインタビューをしたいです。 |