コミュニケーションを円滑にする表情や音声を心理学から解明
言い間違いを理解できる人間に興味
私は人間同士のコミュニケーションで言葉(言語情報)、そして表情や声色(非言語情報)がどのように伝わるのかを実験心理学的に研究しています。
私がこの分野の研究者になったきっかけは、大きく二つあります。一つは小学生の頃に趣味のプログラミングで悪戦苦闘した経験です。コンピュータはちょっと打ち間違えるとすぐエラーで止まってしまいますが、言い間違いにも柔軟に対応できる人間の言語理解の仕組みに興味を持ちました。
外国人との間には「非言語の壁」も
もう一つは海外の研究者と会話した時の経験です。言葉がうまく伝わらなくても表情やジェスチャーで十分補えること、そしてその一方で、日本にいると声色でニュアンスを出すのが普通だけど、それが海外の相手にはうまく伝わらなかったこと。
これらの経験から、コミュニケーションは言語情報と非言語情報の絶妙なバランスの上に成り立っていること、そして異文化間コミュニケーションには「言葉の壁」だけではなく「非言語の壁」もあることを実感したわけです。これをきっかけに国際比較実験を開始して、現在に至ります。
表情や音声の加工でオンライン会話も円滑に
今は、コロナ禍で授業や研究打ち合わせなどオンラインで会話することが増えていて、今後おそらく定着するでしょう。このような場面で、心理学の実験結果に基づいて、顔の表情画像や音声に少し手を加えることで、異文化間でのコミュニケーションが円滑になるような支援技術を、工学の研究者と一緒に開発していきたいと考えています。
「言語・非言語情報のバランスのとれた多文化間コミュニケーション支援技術」
鈴木宏昭
青山学院大学 教育人間科学部 教育学科/社会情報学研究科 社会情報学専攻
人間の思考・認知全般を研究し、現在は「プロジェクション・サイエンス」という新しい学問体系を構築しようとしています。いつになってもアクティブな研究姿勢と発想の独創性に触発されています。
高橋康介
中京大学 心理学部 心理学科/心理学研究科 実験・応用心理学専攻
顔でないものが顔に見えるパレイドリア現象などの錯覚を研究しており、文化人類学と心理学を融合したアプローチを展開しています。多才で行動力があります。
◆コミュニケーションに“顔”は本当に必要だろうか?(日本科学未来館)
◆ともにつくるサイセンタン!結果報告 -その2- ~『ウチの親は子に似ちゃって... 』~(日本科学未来館)
◆日本と欧米、マスク着用で心理面に差 目は口ほどに物を言う?(47news)
◆主な業職種
(1)ソフトウエア、情報システム開発会社のシステムエンジニア
(2)病院・医療における医療系専門職(臨床検査技師・理学療法士等)
(3)大学・短大・高専等、教育機関・研究機関における教員・研究者
◆学んだことはどう生きる?
言語聴覚士として、病院で言葉のリハビリの仕事をしている卒業生が複数います。学部卒業後に、言語聴覚士の専門学校で2年間学んで、国家試験に合格すると言語聴覚士の資格を取得できます。この仕事は、言語やコミュニケーションの認知に関する知識と、他者を支援するマインドとスキルの両面が必要であり、総合的な心理学科で認知心理学を学んだ学生にお勧めする仕事のひとつです。
心理・コミュニケーション学科という枠組みで、心理学とコミュニケーション研究をともに学べるのが特徴です。心理学専攻では、心理学を認知・社会・発達・臨床の4分野に分け、それぞれの分野のバランスがとれた形で学ぶことができます。併願先他大学と比較しても大学院に進学する学生も多く、大きな研究費を獲得して、精力的に研究している教員が多いです。
Q1.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『ニュー・シネマ・パラダイス』 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? ジャズもラテンも何でもありの、ポップス・オーケストラ。 |
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Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 居酒屋の店員。まったく向いていなかった。 |
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Q4.研究以外で楽しいことは? ジャズ演奏 |