経時変動する太陽エネルギーを貯蔵する蓄熱技術を開拓し、注目の安定再エネ電力や水素エネルギーを作る
2050年に向けた脱炭素化は世界の潮流
無尽蔵の太陽エネルギーは、光を用いて太陽光発電ができるほか、熱を利用することもできます。私は、時間変動する太陽光を熱として蓄エネルギー(顕熱・潜熱・化学蓄熱)し、太陽熱利用や安定電力に転換もしくは水素エネルギーを製造する研究を行っています。
2050年に向けて日本を含む世界では、脱炭素化された再エネ由来の熱利用や、脱炭素化された電力による電化を進めると共に、電化が困難な高温の熱需要には水素や合成メタン、合成燃料などにより脱炭素化を進める方針となっています。本研究室では、このような太陽エネルギーの有効利用技術の開発を進めています。
国が推進している変動再エネの熱エネルギー貯蔵や水素インフラに水素供給も
太陽エネルギーは、無尽蔵なエネルギー供給源ですが、年・季節・月・日・時間など様々なタイムスケールで「変動性」があることが知られています。私は、変動性の太陽エネルギーを利用しやすくするため、貯蔵する技術開発を進めています。
すなわち、物質の状態変化を利用した潜熱蓄熱や可逆的な化学反応を利用した化学蓄熱により蓄エネルギーする技術開発、複数の化学反応を組み合わせて水の熱分解反応により水素エネルギーや航空燃料を製造する熱化学プロセス開発を通じて、二酸化炭素排出削減に貢献することを目指しています。
太陽エネルギー利用による水素/航空燃料製造が実用化すれば、国が現在推進している水素インフラに対して水素供給や航空機燃料を太陽エネルギーから製造することができます。これらを通じて日本のエネルギー供給や利用を変革する可能性を持っています。
一般的な傾向は?
●主な業種→石油やガス関連会社、エネルギー・環境プラント関連会社、電力会社など
●主な職種→開発職・研究職
分野はどう活かされる?
エネルギー学分野に直結する電力・石油やガス関連会社でエネルギープラントの維持管理から研究開発・新規事業に渡る幅広い業務を担当できる人材として社会で活躍している。
新潟大学は教育面を最も重視し、学生が自らの専門を深く極めるばかりでなく、広い視野を持ち、物事を総合的に判断する力を身につけること、および実践と体験を通したきめ細かい教育を行うことによって、学生一人一人の個性を伸ばすことを目指しています。
さらに、教養教育と専門教育を融合させた教育プログラムを提供し、特定の課題・分野の学習成果を認証したり、異なる学部の学生と教職員で構成されるグループが地域住民とのふれあいを通じて人間的成長を目指すなど、本学の理念である「自立と創生」に基づく学生育成を実践しています。
先生からのメッセージ
化石燃料の次のエネルギー源として、太陽エネルギーや水素エネルギーが注目されています。エネルギー学は地球規模の化石燃料の有効利用・環境対策技術から将来の水素・蓄エネルギー・省エネルギーまで広範囲をカバーする総合的な技術です。理工系に留まらない多様なバックグラウンドを持った国際色豊かな研究者が集って研究する文理融合型の学問分野です。幅広くさまざまな可能性を探り、常に複数の選択肢を持つことが大事であり、意欲的に自ら学ぶ学生諸君の参入を歓迎します。
先生の研究に挑戦しよう!
【テーマ例】
水の電気分解による水素製造、固体(氷)/液体(水)の状態変化を利用した潜熱蓄熱、可逆的な化学反応を利用した化学蓄熱など
太陽熱発電・燃料化技術 太陽熱から電力・燃料をつくる
日本エネルギー学会:編 吉田一雄、児玉竜也、郷右近展之:著(コロナ社)
太陽エネルギーによる発電と聞くと、太陽光発電を思い浮かべる方が多いと思われる。太陽光発電は光を電気に変換するため、大規模な安定利用には蓄電池等の蓄エネルギー技術が必須である。しかし、本書で解説している太陽熱による発電・水素燃料製造は、現在欧米で実用化している大型太陽集光システムを利用した技術であり、太陽光を熱に変換・貯蔵する蓄熱技術を活用する。大規模な蓄熱システムは既に商用レベルの運転実績を有しており、蓄熱発電にも利用可能である。
本書では太陽熱発電の要素技術や蓄エネルギー技術について平易に解説している。さらに、熱化学プロセスによる水素エネルギー製造は、次世代の航空燃料製造技術として注目されており、燃料製造の原理や技術動向を初学者向けに解説している。

