地域で豊かに暮らす(Well-beingを高める)ための研究
認知症とともに生きる
認知症とともに生きるご本人やご家族と一緒に、そのかたが望む暮らしについて、どうすればそれが実現できるかを考え、研究しています。
1.認知症とともに生きるかたとのパートナーシップに関する研究
今、認知症とともに生きている方々は私たちのこれから歩む未来を生きる大先輩です。だれもが安心して認知症になれる地域をつくるために、今、認知症とともに生きている方々のお話をしっかり聴かせていただき、教えていただく活動・基礎的研究を学生さんと一緒に続けています。
2.災害時要配慮者の避難行動に関する研究
自然災害が発生した時に、自力での避難が困難な方々(災害時要配慮者)を対象に、安全な避難行動を促進するための研究を行っています。要配慮者の特徴をふまえた、個別避難計画のモデル作成に取り組んでいます。
3.保健福祉専門職の専門技能向上に関する基礎的研究
介護福祉過程を通じてご本人の豊かな暮らしにアプローチするエキスパートが介護福祉士です。介護福祉士資格は、福祉の分野では数少ない国家資格です。地域での包括的な生活支援体制において中心的な役割を担うべく、介護福祉士の活躍が期待されています。私は、介護福祉士をはじめ保健福祉専門職のキャリアアップの支援のための研究を行っています。社会福祉士、介護福祉士や介護支援専門員といった保健福祉専門職を対象に、専門技能を向上しながら、健康でいきいきと職務を継続できるための基礎的研究を進めてきました。近年は特に、ケアの充実に焦点をあて、技能向上プログラム作成と支援システムへの応用に取り組んでいます。
一般的な傾向は?
●主な業種→社会福祉専門職地方公務員、社会福祉専門職(介護福祉士、社会福祉士)
●主な職種→地域包括支援センターの社会福祉士(介護福祉士の資格も取得し、生活支援のスペシャリストとして活躍)。通所事業所に社会福祉専門職として就職し、管理者になるなど
分野はどう活かされる?
2020年度入学生までは、介護福祉士と社会福祉士の両方の国家試験受験資格を取得できました。4年間かけて社会福祉学を土台に、介護福祉学を学ぶことで、対象者の生活をしっかり理解した上で援助展開をできる基礎力を身につけ、社会で活躍しています。
現代福祉学科では、社会福祉学のみならず、保健福祉学、介護福祉学、マネジメント学、国際福祉についても学習できます。地域活動に参加し、地域の方と一緒に学ぶプログラムも多く準備されています。
先生から、ひとこと
地域領域の臨床実践のなかで、地域の方から教えていただいたこと、一緒に考えたことや、生活継続のお手伝いをさせていただいた経験をもとに、心穏やかに自分らしい暮らしを続けることについて、一生懸命考え続けています。
先生の研究に挑戦しよう!
【テーマ例】
・認知症とともに生きる人と家族とのパートナーシップとは?
・災害時に手助けが必要な方々とともに考える、安全に避難できるしくみづくりってなんだろう?
「できる」と「できない」の間の人
樋口直美(晶文社)
執筆活動を精力的に続ける著者の樋口直美さんは、50歳でレビー小体型認知症と診断された。多様な脳機能障がいに加え、幻覚、嗅覚障害、自律神経症状などとともに暮らす日々に起こるエピソードを分かりやすく解説し、「誤作動する脳」と表現する。
だれもが、病気になったり、歳を重ねたりして、「できない」と思うことがあるし、「できる」と「できない」の間で迷ったり、戸惑ったりしながら生きている。でも大丈夫。困りごとは人に伝えて、周りに助けてもらえばいい。心配しないで。未来はきっと、そんなに悪くない。樋口さんからのメッセージが心に響く一冊。
痴呆老人からみた世界―老年期痴呆の精神病理
小澤勲(岩崎学術出版社)
かつては、認知症のことを痴呆症と呼んでいた。歳を重ね、認知症とともに生きるライフステージにおいて、喪失の意味や、表出される感情・行動のなかにある複雑な心情について緻密な描写により詳述される。認知症とともに生きる人々の心の複雑さに光を当てる貴重な学術書。専門家向けに深く掘り下げた内容なので、高校生には些か難解かもしれないが、認知症のみならず、心の世界や想いを深く考えるきっかけになる一冊。専門家にとっては必携。
痴呆を生きるということ
小澤勲 (岩波新書)
「認知症」という呼び名になる前の旧名称の書籍ではあるが、認知症を有する当事者が生きる世界を、介護老人保健施設など現場に最も近い立場の著者が解説した、認知症ケア必読の書。認知症当事者の精神世界に光を当て、関わる家族や介護者の大きな支えとなった本。

